【韓国昔話26】こしき捕りのかけ
トラとガマガエルが、蒸しもちをつくって食べることにしました。
二匹は、全く同じように、米をひさごに一杯ずつもってきました。そして、あずきでまぶし粉をつくり、仲よく鼻歌を歌いながら、蒸しもちをつくる準備をしました。
火をくべて、しばらくすると、蒸しもちの入ったこしきから、もくもくと白い湯気がたちのぼり、ぷ~んとおいしそうなにおいがしてきました。
蒸しもちができあがったのを見たトラは、おいしそうな蒸しもちをひとり占めしたくなり、あるたくらみを思いつきました。
「ヒキガエルよ、おれたちで、蒸しもちをつかまえる試合をしないか?」
「蒸しもちをつかまえる試合だって?」
「うん、蒸しもちの入ったこしきを山のてっぺんから転がして、それを先につかまえたほうが蒸しもちを全部食べることにするのさ」
この言葉を聞いたヒキガエルは、開いた口がふさがりませんでした。なぜなら、かけっこでは、トラにはかなわないことが分かりきっているからです。
ヒキガエルが何も言えずにだまっていると、トラは、ヒキガエルの返事も待たず、勝手にこしきを持って山のてっぺんに登っていきました。
山のてっぺんに立ったトラは、蒸しもちの入ったこしきを思い切り転がしました。
「ヒキガエルよ、おれが先に行くからな!」
トラは、よろこびいさんで、すばやく下りていきました。
ところが、こしきがごろごろと転がっていくうちに、中にあった蒸しもちは、少しずつ、こしきから落ちていきました。
そんなことも知らないトラは、夢中にこしきを追いかけていきました。
ヒキガエルは、落ちた蒸しもちを一つひとつ拾ってひさごに入れて下りていき、おいしそうな蒸しもちをすべて食べてしまいました。
しばらくして、こしきを捕まえたトラは、こしきの中に何も入っていないのを見て、ぜいぜい息を切らしながら言いました。
「こしきの中にあったもちは、全部どこに行ったのだ?」
その時、ヒキガエルが現れて、トラに言いました。
「トラよ、おなかが空いただろう? このあずきのまぶし粉でも食べるか?」
蒸しもちをヒキガエルがすべて食べてしまったことを知ったトラは、すっかり腹を立て、
「おまえこそ、いっぱい食べろ!」
と言って、あずきのまぶし粉をヒキガエルにぱっとふりかけました。
そして、ヒキガエルの背中をどしんどしんと前足でふみつけてしまいました。 ヒキガエルの背中がでこぼこになったのはそのせいだそうです。
終