【韓国昔話25】けちん坊のおじいさんと賢い青年
ある村に、欲張りでけちなおじいさんが住んでいました。
どれくらいのけちかというと、野菜や穀物をつくるために人をやとって働かせても、ほんの少ししか報酬をあげなかったそうです。そのせいで、そのおじいさんの家で働きたいという人は全くいなくなってしまいました。
「刈り入れの時期になったが、どこから人をやとおうか」
働いてくれる人がいなくて、けちなおじいさんが悩んでいると、「働かせてほしい」と言う一人の青年がひょっこり現れました。
けちなおじいさんは心の中では喜びましたが、報酬をあげたくなくて、でんとふんぞり返ったまま言いました。
「働きたいと言うのなら働かせてやってもいいが、あまり報酬は望めないよ」
青年は、にこにこと笑いながら答えました。
「報酬は、最初の日は豆ひとつぶ、二日目は、ひとつぶの倍で豆ふたつぶ‥‥。このように、前の日の倍の豆だけを下さればよいです」
「分かった。それならいいだろう」
けちなおじいさんは、青年が「豆なんつぶ」と言うので、たいした量ではないと思ってすぐに青年の提案を聞き入れました。
青年は力が強く、よく働き、三人分の仕事を軽くやってのけました。
このようにして三年がたったある日、青年は、けちなおじいさんに言いました。
「おじいさん、そろそろ報酬として、私の取り分の豆を下さい」
「そうか、どれくらいやればよいのだ?」
「最初の日は豆ひとつぶ、二日目は、ひとつぶの倍でふたつぶ、三日目は、ふたつぶの倍でよつぶ、四日目は、よつぶの倍ではっつぶ、五日目は、はっつぶの倍でじゅうろくつぶ‥‥。十日目は、二百五十六つぶの倍で五百十二粒‥‥」
けちなおじいさんは叫びました。
「これでは、わしの豆がすべてなくなってしまうではないか!」
けちなおじいさんは、豆ひとつぶがそのように途方もなくふくれあがるとは夢にも思わなかったのです。
青年は、三年分の報酬として蔵にある豆をすべて持っていってしまったそうです。
終