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2014年04月07日

【韓国昔話18】木靴売りと扇子売りを持った母親の心配

【韓国昔話18】木靴売りと扇子売りを持った母親の心配

 昔、ある村に、二人の息子と母親が住んでいました。

 暮らしは楽ではありませんでしたが、二人の息子は、母親をとても大切にしていました。

 近所の人々は、このような母親を見てうらやましく思いましたが、母親は、二人の息子が心配で、一日として心の休まる日がありませんでした。

 数日間ふりつづいた雨がやみ、きらきらした太陽が顔を見せた日でした。隣の家のおばさんが、その母親を訪ねてきました。

 「ほんとうに、久しぶりに見る太陽ですね」

 隣の家のおばさんが明るく笑いながら言いました。しかし、母親の顔は暗く沈んでいました。

 「それはそうですね。でも、このように晴れると、下の息子の木靴が売れなくなってしまうんですよ」

 母親は、はあっとため息をつきながら言いました。

 また、雨がしとしと降っていたある日のことです。母親は、縁側に座って、空をうらめしそうに見上げていました。

 「きょうはまた、何を心配しているんですか」

 隣の家のおばさんが、雨をさけようと、すばやく軒下に入ってきて言いました。すると、母親は、

 「薄情な空ですよ。このように雨が降れば、上の息子の扇子が売れないではないですか。早く雨がやんでくれたらいいんですが」

 と、はあっとため息をつきながら答えました。

 「晴れても心配、雨が降っても心配で、ほんとうに困りますね。お母さん、このように考えてみたらどうですか」

 「どのようにですか」

 「晴れれば、上の息子の扇子がよく売れるのでよいし、雨が降れば、下の息子の木靴がよく売れるのでよいとです」

 「まあ! なぜもっと早くそのように考えることができなかったんでしょう」

 そう言って、母親は、久しぶりに、にっこりと笑いました。その日以来、母親は、心配をせずに暮らしたということです。

※木靴:昔、雨の日などにはいた木製のはきもの

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