「いじめ問題が全国で発生していますが、学校関係者には、子供たちがのびのびと、明るい社会に送り出せるようにしてもらいたいと思います」
何かおかしな印象を受ける文章です。「子供たちがのびのびと」に続く文章がありません。「明るい社会に送り出せる」というのも、奇妙です。明るい社会ができているのでしょうか。
「子供たちがのびのびとし、明るく社会に出て行けるようにしてもらいたい」とでもすればよいでしょうか。あるいは、「学校関係者には、子供たちを……送り出してもらいたい」とすればよいでしょう。
「送り出す」という言葉があるので、「○○を」という言葉がその前になければおかしな文章になってしまうのです。
次の文章はどうでしょう。
「幸せな家庭は夫婦が一つになることから始まります。そのためには夫婦が心を一つに分かち合うのです」
夫婦が「心を一つにする」のならわかりますが、「心を一つに分かち合う」というのは、一体、どういうことでしょう。「一つに分かち合う」という言葉自体、おかしいのです。「心を一つにする」ことと「悩みや悲しみ、喜びを分かち合う」ということとをごちゃまぜにして、一つの文章にしてしまったことから、奇妙な文章になっているのです。
主語と述語はきちんと照応しているか、あるいは、述語は受ける言葉としてふさわしい言葉が使われているか、自分の文章を点検するようにしましょう。
(徳)