光言社 編集者ブログ

印刷

  • 編集室
  • いいね(0)

2014年03月06日

【文章教室2】話しことばと書きことば

説教や講演などを本にまとめようとするとき、まず録音した音声を文字にしなければなりません。これを出版界では「テープ起こし」といい、専門にする人をテープライターと呼びます。今はデジタルの時代なので、テープはほとんど使われていませんが……。本にするのですから、音声を文字にする作業は必ず必要です。

ところが、聞いていたときには感動したのに、文字にしたら意味がよくわからなくなったということがよくあります。それは、聞いているときは、表情や手振りなど、言葉以外のものから情報を得て聞き手が補っているからです。あるいは、話している人が言い切っていないのに、聞き手が話し手の思いを慮(おもんぱか)って結論や答えを出しているということがあるからです。

もともと、講演などにはそういう面があります。講演者がすべて話すと、考えを押しつけているように感じるので、結論まで話さずに、聞き手に考えさせるという手法がよく使われるのです。場合によっては、沈黙が大きな説得力をもつこともあります。(こういう場合には、「文を補う」という作業をします)

話すときは、あまり文法を気にしていないので、文法的な誤りを犯すことが多くあります。また、無意識のうちに繰り返したり、話している途中で別の話題に移ることもしばしばです。「ところで…」と言いながら、話題が変わっていなかったりというように。

話していると、不適切な接続詞を使ってしまいがちです。原稿を読み上げているわけではないので、つい場当たり的に接続詞を連発してしまうのです。

「…で、…で、…なのに、…だけど、……」と一つの文が延々と続く文章に出くわすことがあります。こういう文章は、読んでいるうちに、何を言いたいのかわからなくなってしまいます。長くなっている文を短く切ることは、わかりやすい文を書くポイントです。

文章を書いたら、よく見直すことを習慣づけましょう。自分の文章を点検してみるのです。まずは、繰り返しがないか、不適切な接続詞、不要な接続詞がないか、そういうところから始めてみましょう。

(徳)

いいね(0)

戻る