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2014年04月29日

【韓国昔話22】ウサギのきも

【韓国昔話22】ウサギのきも

深い深い海の底の竜宮に住んでいる竜王が、ある日、大きな病気にかかりました。

竜王の病気をみた医者は言いました。

「この病気をなおせる薬は、ウサギのきもしかありません」

竜王は、すぐに忠実なカメを呼んで言いました。

「海と陸を行き来するカメよ、行って、ウサギのきもを手に入れてきなさい」

「はい、竜王様! 陸に上がって、すぐにウサギのきもを手に入れてまいります」

陸に上がったカメは、うさぎを訪ねていって言いました。

「ウサギよ、私のあとについて海の中の竜宮に遊びにいこう。そこには不思議なものや、おいしいものがたくさんあるぞ!」

「ほんとうか? それなら、すぐに行ってみよう!」

カメは、うさぎにウソをついたことをすまなく思いましたが、竜王様の病気を治すためには仕方がありませんでした。

「ウサギよ、早く私の背中に乗りなさい!」

カメは、ウサギを乗せて海に入り、急いで竜宮に下りていきました。

竜宮に到着すると、カメは、ウサギをぎゅうぎゅうに縛り上げてしまいました。

「ウサギよ、竜宮様の病気をなおすには、おまえのきもが必要なのだ。すまないが、おまえのきもを竜宮様に差し出さなければならない」

カメにだまされたことを知ったウサギは腹を立てました。しかし、すぐに気を取り直して、どうやってここから逃れようかと必死に考えました。

しばらくして、ウサギが言いました。

「カメよ、分かった。私のきもを竜宮様にさしあげよう。しかし、私のきもはなにしろ貴重なので、いつも森の中にある岩の間にかくしてあるのだ。その場所を教えてあげるから、私を連れていってくれ」

その言葉を聞いたカメは、ウサギを背中に乗せて、再び海の上に上がっていきました。

海辺について陸に上がると、ウサギは、カメの背中からぽんと飛び降りました。そして、ぴょんぴょん跳ねて逃げていってしまいました。

あわてたカメに向かってウサギが言いました。

「や~い、あほうなカメよ。きもを取ったりつけたりする動物がどこにいるというのだ。おまえが先に私をだましたので、あんまりくやしく思うなよ!」

陸に上がったうさぎをつかまえることなど、カメにはとうてい無理な話でした。カメは、遠ざかっていくウサギを見ながら、がっくりと肩を落としたそうです。

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