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2014年03月24日

【文章教室7】奇妙な気分にさせる「翻訳調」

英語を翻訳するときに困るのが、関係代名詞です。

「The problem which troubles me……」

「The gorgeous house which has three toilets……」

「私を困らせている問題……」「トイレが三つある豪華な家……」とでも訳せばよいでしょうか。

英語の関係代名詞は、モノや人の状態を説明するために、そのモノや人の後につけて使います。二つめの例文のように、 house の前に gorgeous という修飾語を置き、さらに関係代名詞 which を使えば、それ以下の文章で説明を加えることができるので、とても便利です。

日本語では、修飾する言葉は修飾される言葉の前に置きます。それで、修飾する言葉や文章が複数になったり、しかもそれが長くなったりすると、どれがどれを修飾するのか分かりづらくなり、混乱を招いてしまいます。

さて、二番目の例文を英語の順番どおりに訳そうとすると、どうなるでしょうか。「その豪華な家、それは三つのトイレがあるのだが、……」と、言い直すようになるでしょう。もちろんこれでも間違いではありませんが、何だか変な感じがします。

また、英語では受動態を用いたり、主語を物にして、それが自分に働きかけるような言い回しを多くします。「I was impressed on the movie. 」(私はその映画で感動させられた)、「The movie impressed me. 」(その映画は私を感動させた)などです。やはり、どこかおかしいなという印象が残ります。

いわゆる「翻訳調」で、これがしばしば出てくるような文章を読んでいると、奇妙な気分になります。

なぜでしょうか。それは、「普通、(日本語では)そんなふうには言わないだろう……」という思いが生じ、葛藤を覚えるからです。

「翻訳調」はできるだけ避け、心にすんなり入ってくる文章にするよう心がけましょう。

このような問題は、英語に限らず、どんな言語でもあることです。外国語は使い方が違うし、社会様式も違うのですから、当然のことです。その言葉どおりにしようとしたり、まねをしようとすると、違和感を感じる日本語になってしまいます。

(徳)

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