『原理講論』には難しい言葉が使われている箇所が多くあります。そのため、意味がつかめなかったり、文脈からしてこうではないかと推測するものの、違った意味に捉えてしまうようなこともあります。そこで、難しい言葉に解説を加えてみました。
[ ]の中は、『原理講論』のページ数と、行数を示しています。一つの言葉に、二つ以上の意味がある場合、『原理講論』で使われている意味のほうに☆印をつけました。反対語は⇔で、参照は→で示してあります。
<緒論>
[272-1]蕩減(とうげん)
本来の位置と状態を失ったとき、元に戻すには、何らかの条件を立てなければならない。その条件を立てることを「蕩減」と言う。
[272-13]中間霊界(ちゅうかんれいかい)
霊界における、楽園と地獄の間にある階層の世界。
[274-12]還償(かんしょう)
失った位置と状態と同一なる価値の条件を立てて、原状へと復帰することをいう。
[274-17]債務者(さいむしゃ)
債務を負っている人。金を借りている、あるいは買掛金(未払債務)をもっている状態にある人。⇔「債権者」
[274-17]債権者(さいけんしゃ)
債権をもっている人。金を貸している、あるいは売掛金(未収債権)をもっている状態にある人。⇔「債務者」
[275-5]聖餐式(せいさんしき)
キリスト教で、ぶどう酒とパンをキリストの血と肉に例えて会衆に分け与えて、食事を共にすることによってキリストの死と復活を記念する儀式。
[275-10]献祭(けんさい)
1 祭る。☆
2 供養する。
[276-5]殉教(じゅんきょう)
自らの信仰のために命を失ったとみなされる死のこと。
[276-10]奉(たてまつ)る
1 「やる」「おくる」の、その対象を敬っていう謙譲語。上位の人に差し上げる。献上する。「貢ぎ物を―・る」
2 動作の対象への敬意を失い、「やる」「おくる」をからかっていう。「あだ名を―・る」
3 形だけある地位に就けて、敬意を払ったことにする。祭り上げる。「会長に―・って口出しをさせない」
4 その動作を受ける人を主として、尊敬語として用いる。☆
[279-3]カイン
アダムとエバの長子で、農夫となった。彼は地の産物を感謝のしるしとして神に捧げたが、その心が正しくなかったために退けられ、弟アベルの供え物が受け入れられるのを見て、アベルをねたみ、怒り、ついにこれを殺して、聖書における最初の殺人者となった。さばきが行われた時、罪を悔い改めず、ただ刑罰のみを恐れた。追放されたのちはエデンの東、ノドの地に住んだ。
[279-3]アベル
アダムとエバの第二子。カインの弟。兄カインが農耕に従事して、「地の産物」を主に供え物としたのに対し、アベルは牧畜にたずさわり、「群れのういごと肥えたもの」を供え物とした。「主はアベルとその供え物とを顧みられた」。カインは怒り、アベルを野に誘い出して殺した。
[279-4]ノア
アダムより10代目ノアの時代、「世は神の前に乱れて、暴虐が地に満ち」ていた。神は人類を審判し、滅ぼすために地に大洪水を起こさせたが、その直前、ノアに巨大な箱舟を造らせ、彼とその家族と、一対ずつの動物と共にその中に入らせて、滅びから救った。
[279-4]アブラハム
創世記に登場するイスラエルの祖先。ユダヤ教、キリスト教、イスラーム(イスラム教)において「信仰の父」とされている。アブラハムはセムから数えて10代目に当たり、テラの子で、その兄弟はナホルとハランである。父に伴われて、妻サライと甥ロトと共に、カルデアのウルを出てハランに住んだが、父テラはそこで死んだ。
[279-13]契約(けいやく)の箱(はこ)
十戒を刻んだ二枚の石版が収められている箱。
[280-3]便宜(べんぎ)
便利のよいこと。また、その人にとって都合のよい処置。「消費者の―を図る」
[281-14]象徴献祭(しょうちょうけんさい)
象徴献祭は、万物をもって捧げる献祭(ノアの箱舟や、アブラハムの鳩と羊と雌牛など)を象徴献祭といい、「信仰基台」を復帰するためのものである。実体献祭は、実体人間を復帰するために、「堕落性を脱ぐための蕩減条件」を立て、「実体基台」を復帰するためのものである。
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