「続・聖歌のめぐみ」では、私たちがふだん讃美している聖歌が誕生した背景について、聖歌編纂委員の天野照枝さん(777双)が不定期で解説しています。
今回は、聖歌63番「山に育む」です。ここでは、その内容の一部をご紹介します!
「天地自然が語りかけてくる中に、神様の声を聞く」ということが、聖歌「山に育む」の主題です。……
自然の風景や万物の姿に感動するとき、多くの人が、そこに満ちる愛の声を聞きます。木々に、風に、夕日や海に、星に込められた言葉を聞くことができるのです。
そのような実感を歌っているこの聖歌「山に育む」は、立場の違いを超えて、抵抗なく本心に呼びかけてきます。礼拝の讃美などにも歌ってほしい曲ですし、それぞれ違う宗派、信条を持つ人々が集まった場でも、心を一つにする歌詞なのです。……
それでは、この聖歌の歌詞を見てまいりましょう。
山に育む木々の緑
木陰に沈む夕日の中に
我らを包む愛の姿
さらば行かん 神の愛の中に
歌いだすと、目の前に、命の力いっぱいに枝を伸ばして葉を茂らせる、緑の木々が見えます。
緑は木によって微妙に色を変え、きらきら光る葉の輝きも多種多様で、透き通った青空に映えています。それらの木々は山に育まれ、見渡す限りの緑の競演です。
「山に育む」と表現した作詞者の感性に感動しながら歌い進むと、やがて、日が暮れ始め、大きな夕日が現れます。一日の最後に、命の喜びを歌い上げるような、太陽の光のセレモニーが始まります。
夕日は、美しく雲と大空を染めながら、木陰に沈んでいきます。
何という美しさ、豊かさでしょうか。
その光の中で、私たちは語りかける声を聞きます。人生の戦場の中で、その励ましに勇気を与えられて、私たちは静かに決意します。
〝そうだ、どこまでも行こう、生きていこう、この神の愛の中に!〟と。
そして2番は、海の情景になっていきます。
流れる波間の砂の響き
磯に砕けるしぶきの中に
我らに語る愛の姿
さらば行かん 神の愛の中に
海は、繰り返し、繰り返し、無限に波を送ります。太古の昔から、海は命を育んできた母です。
波は砂を洗って、小さなささやきとなり、また大波は磯に打ちつけて、壮大なしぶきとなり、大きな音を立てて砕け散ります。
その姿の中に、私たちは長い命の物語を語る海の声を聞くのです。……
3番は、「闇にまたたく星の光」と、大きな夜空を見上げています。
闇にまたたく星の光
我らの心を清めるように
ただ深々と降る姿
我は行かん 神の愛の中に
星の光は、私たちの心を清めるように、無心に光を届けてきます。その光は、何億光年も前に発して、無限の宇宙空間を貫いて、今、私の目に届いたのです。その星はもしかしたら、もう爆発してなくなっているかもしれません。
1秒間で地球7周半の距離を進むという、光の速さを考えてみても、何億年もかけて届いた星の光を、私たちが見ていることが奇跡のようなものです。
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歌詞の背景について、もっと深く知りたい方は、『世界家庭』7月号の56〜61ページをごらんください!
*編集部から*
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