私は生まれてこの方、視力には恵まれて、ついぞ眼鏡をかけたことがありませんでした。ところが還暦を過ぎて、少しずつ老眼が進み、ついに老眼鏡のお世話になることに!
初めての眼鏡にはとまどいばかりでした。だって、眼鏡ってすぐに曇るじゃないですか。熱いコーヒーを飲んでも曇るし、マスクを掛けただけでも曇ります。また近くを見るときと遠くを見るときで、掛けたり外したりと、実に面倒です。
それに比べて、目は全く手がかかりません。何があろうと曇らないし、遠近を自動で調節してくれるし、どこかに置き忘れることもないし……。
つくづく、よくできてるんだなあと感心します。
目に限らず、人体は神秘に満ちています。
浅田次郎の小説『天国までの百マイル』で、心臓外科医が主人公にこんな話をするシーンがあります。
「心臓から送り出される血液は1分間に約5リットル。ということは1日に約7200リットル。血は水より少しばかり重いから、めかたにすると7・5トンだぞ。
しかもだ。動脈血が左心室を出て右心房に戻るまでの循環時間はたったの20秒。たったそれだけの間に、血液は体のすみずみまで酸素と栄養を送り届けて、また心臓に戻ってくる」
神様は心臓を、こんなに働き者に創ったんですね! 驚異的です。
天一国経典『天聖経』第一篇「神様」の中に、「人体の神秘から見た神様の実在」という項目があります。そこでは、人体がどれほど理にかなった形で用意周到に創られているかが、ユーモラスに表現されています。
鼻「鼻がもし逆さまになったとすれば、どうなるでしょうか。夕立でも降れば、大変なことになります。どれくらい深刻なことか考えてみてください。笑い事ではありません」
耳「耳を見ると、耳介は前に向いています。それが反対になっていたとすれば、また、なかったとすれば、どうでしょうか。前から来る音がそのまま通り過ぎてしまうでしょう」
眉毛「本当に、よくぞくっついているというのです。……もし、眉毛がなければどうなるでしょうか。汗や雨水がすべて目に入ることになります。汗が目に入ると痛くてたまりません。我慢できないというのです」
そして、そのような人体のあらゆる箇所について、真の父母様は、「(神様は)何千年、何万年研究して作ったはずです」と語っておられます。
「アーヂュ!」と言うほかありません。
さて、眼鏡には、レンズに曇りにくい加工が施されたものや、ジェルやスプレーなどの曇り止めもあるようですが、人間の作るものはそのあたりが限界ということでしょうか。
眼鏡が曇るのはしょうがないですが、せっかく神様に頂いた大切な「目」だけは曇らせることがないようにしたいものです。
さまざまに情報が交錯し、心が塞がることも多い昨今、いたずらに影響を受けることなく、正しい判断ができるよう、心の目を磨いていきたいと思います。
晶