私の父は家族の写真を撮るのが趣味でした。「ちびまる子ちゃん」に出てくるたまちゃんのお父さんのようだったので、たまちゃんが引きつった笑顔で「お父さん、もうやめて……」と言う気持ちがよく分かります。

　撮られるのが嫌だった時期もありますが、現像してきた写真を見るのは好きでした。フィルムカメラが主流だった頃は、現像するまでどんな写真が撮れたか分かりません。半目だったり、ピンボケしていたり、撮影者の指が入っていたりすると、家族で「変なの〜」と大笑いしていました。たまにアルバムを引っ張り出してみんなで見るのも、楽しい時間でした。

　今は「写真はスマホで」という人が多いのではないでしょうか。私もその１人です。しかしスマホの中に入れっぱなしだと、家族でアルバムを眺める楽しみがありません。
　「スマホでいつでも見られるよ。アルバムは場所も取るし、する必要ある？」という夫の意見もありましたが（笑）、私は厳選した写真をプリントし、アルバムに保管するようにしています。選ぶ、注文する、アルバムに入れるなど手間はかかりますが、子供たちが頻繁にアルバムを持ってきて、面白い写真を見つけてゲラゲラ笑ったり、思い出話をしたりして楽しんでいるのを見ると、「する必要はある！」と思います。

　子供と写真の関係について、保育学者で大阪教育大学教授の小崎泰弘氏は「子どもの写真をたくさん撮ったり、アルバムを何度も見直したりすること自体が、家族の関係性を良好にしていると考えられます」と言っています。子供や家族を大切に思う気持ちや意識が実際の行為として現れているからだそうです。

　「写真は撮りっぱなし」「最近アルバムを作っていない」というそこのあなた！　これを機に、家族の時間を盛り上げ、笑顔を増やすアルバムを作ってみるのはいかがですか？