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2022年11月04日

乾坤ここにめぐりきて

 

 さまざまな偏向報道が渦巻く中、最近、私の頭の中を盛んに去来する歌があります。
 「乾坤(けんこん)ここにめぐりきて」
 私が通った高校(長崎県)の応援歌の一節です。

 私の高校は、前身が旧制中学(もはや死語?)だったせいか、当時(1970年代中盤)はまだ硬派な気風が色濃く残っていました。
 ちなみに旧制中学とは、1947年に学校教育法が施行される前、男子に対して中等教育を行っていた学校のことで、多くが男子校の高等学校に変わりました。
 後に共学化が進み、女子の私も入学したわけです。

 

こんな感じの渋い木造校舎でした

 

 入学式の後だったと思います。教室に待機していると、応援団らしき上級生の男子がずかずかと入ってきました。そして、校歌と応援歌の歌詞のプリントを教壇にどさっと置くと、「明日までに覚えてこい!」と叫び、ひとにらみして出ていったのです。
 怖かった……。

 応援歌は第1から第6まで、6曲あり、歌詞は漢文が基になった難解なものばかり。私はその夜、歌詞を必死に覚えましたが、一晩では到底不可能でした。
 翌日、新入生たちが体育館に集められ、校歌と応援歌の練習がありました。竹刀を持った応援団の人たちが、新入生の間を回りながら、「もっと声出せー!」「胸張れー!」と怒鳴っていましたが、うろ覚えでも特にとがめられることはありませんでした。
 意外に優しかった……。

 さて、前置きが長くなりましたが、冒頭でご紹介したフレーズは、第1応援歌の出だしです。6番まであるのですが、最初の2つだけ紹介します。

 乾坤ここにめぐりきて
 燃ゆる血潮か紅葉(もみじば)の
 草木ケ原に秋たけて
 選手門出の熱血歌

 風蕭々(しょうしょう)と吹き荒(すさ)び
 易水流れ、寒ければ
 壮士一度(ひとたび)、決したる
 図南の雄志、砕けんや

 2番の「風蕭蕭として易水寒し」は、戦いに赴く際の悲壮な決意を表す言葉で、中国の歴史書『史記』の中でも最も人気のあるエピソードだそうです。関心のある方はぜひ、お調べください。

 ここで私が注目したいのは、1番の「乾坤」という言葉です。
 改めて調べてみました。
 易(えき)の卦(け)のうちの「乾」と「坤」のこと。乾は「いぬい」で西北を、坤は「ひつじさる」で西南を指し、正反対の2つの物や対になる物を表すことから、「天と地、天地の間、天下」などの意味となる──。
 ここに、「一度に全てを投げ捨てる」という意味の「一擲(いってき)」が加わり、「乾坤一擲」となると、「天下を懸けた、のるかそるかの大勝負」という意味になります。

 ですから、最近、私の頭を盛んに去来していた「乾坤ここにめぐりきて」を解釈すると、「のるかそるかの大勝負の時がやってきた」といった意味になるかと思います。正に、今の時を表しているようです。

 現在、私たちは四面楚歌のような立場にありますが、誰が何と言おうと、私たちがこれまで捧げた精誠は真実であり、決して失われるものではないと思います。それは「虫も食わず、さびもつかず、また、盗人らが押し入って盗み出すこともない」(マタイ6・20)天に宝を蓄えたからです。

 真のお父様はこう語られました。
 「本郷の地で一緒に住みましょう。そのときは皆、会えば挨拶する世界になるでしょう」(2011年9月2日、天正宮博物館)
 私たちの願いはただ一つ、「天の父母様のもとの人類一家族」です。誰もが楽しく平和に挨拶を交わし合う世界を夢見ながら、歩んでいきたいです。

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