1990年4月、ソビエト連邦(当時)のモスクワで、第11回世界言論人大会とゴルバチョフ大統領との会談を勝利的に終えられた真の父母様は、ドイツの視察に向かわれました。
大会終了後、真のお父様は、撮影隊として現地入りしていた私たちに「今からドイツに行くので同行するように。そしてフランスにも行って摂理の進展を記録撮影するように」とおっしゃられました。
今回はその時のエピソードです。
5人の撮影隊はドイツとフランスの2班に分かれ、私は真の父母様の向かわれるドイツ班の音声担当として同行させていただきました。
フランクフルトの空港に着くと、真の父母様はすぐにカンベルク修練所に向かわれ、数年ぶりの再会となるドイツの兄弟姉妹にみ言を語られました。
ほとんど休まれないまま翌朝早く、父母様は車数台と共にアウトバーンを猛スピードで超えてアルプスへ。日本から大会に参加していた久保木会長は持病で体調を崩していましたが、パジャマ姿のまま車に乗り込み、ドイツ、オーストリア、スイスの3つの国境が交わる山頂地点へ向かいました。
ふもとのマクドナルドで朝食のハンバーガーをご馳走になっていたとき、ピーターキム(金孝律)先生が久保木会長のために買い揃えた登山用の服一式を披露。とても似合うとお二人で大笑いしていました。
山頂までの道すがら、狭いケーブルカーに揺られながら父母様を撮影していると、真のお父様から「お父様たちばかり撮らないで、外の景色を撮りなさい」と日本語で指示が入りました。その様子に、隣におられたお母様も笑っていらっしゃいました。
4月だったため国境の山頂地点にはまだ雪がだいぶ残っていて、時折吹き上げる風により雪が舞い上がっていたことを覚えています。
お母様は、お父様がモスクワで大きく勝利されたことを大変喜んでおられるようで、終始笑顔で、雪が残るきつい山の細道を登ったり降りたりしていらっしゃいました。
そして、時にカメラに向かって雪玉を投げる仕草をされながら、後ろ向きに撮影する私たちに日本語で「アブナイ、アブナイ」と声をかけてくださいました。
この時の映像は、家庭連合出帆記念式での上映ビデオの中に一部収録されています。
時を経て20数年後、真のお母様がご来日されたおりに、またビデオカメラマンとして同行する恩恵が与えられました。紅葉と共にお母様を撮影しようと、私が後ろ向きに歩きながら撮影していると「アブナイ、アブナイ」と、あの懐かしいお母様の日本語が――。
仕事柄、多くの貴重な経験をさせていただいたことは私の人生の宝物です。
しかし私の歩みは、真のお母様にいつも「アブナイ、アブナイ」と思わせてきたことばかりでした。
今回は個人的なエピソードですみません。
機会があればモスクワ大会前のエピソードや、ドイツ視察で撮影スタッフに起こった大ハプニングなども紹介できたらと思っています。