2022年7月8日、安倍晋三元首相が銃弾に倒れて以降、マスコミは「事件の元凶は世界平和統一家庭連合である」とばかり書きたて、その関連団体とつきあいのあった政治家をブラックリストのごとく挙げ連ねて報じた。自民党の岸田文雄総裁も、明確な根拠も示さずに家庭連合との関係断絶を宣言。さらには、文科省が宗教法人解散を視野に入れた質問権の行使を命じ、現在進行中である。果たして文科省は世論に押されて、解散命令請求を出してしまうのか――。
著者の国際弁護士・中山達樹氏は、コンプライアンス・内部統制の専門家として、中立的で第三者的な観点から家庭連合の歴史と活動内容を精査したところ、家庭連合は宗教法人の解散要件を満たさないとの結論に至った。他の宗教団体との比較等を踏まえ、「組織性、継続性、悪質性」の3要件が確認できなかったのである。
本書では、その詳細を図や表を用いて分かり易く解説する。憲法上の信教の自由の保障や法の支配の見地から、宗教法人の解散は政治マターではなく、精緻に法的に検討されなければならない。本書は、宗教法人の解散を純粋な法理論の見地から論じた初めての書でもある。
反家庭連合の報道が喧しい中、異なる立場から一石を投じるこの本は、警世の書ともいえる。
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