会社から帰ってくると、高校生の弟が私の部屋で寝ていました。
私の部屋のほうが弟の部屋よりも快適なので、いつものこと。
「ほら、自分の部屋に帰って」
と私が言うと、
「頭が痛い……」
弟はもぞもぞして、また寝ました。
翌朝6時53分、弟が泣きながら部屋から出てきました。
びっくりした私と母は、弟をなだめながら、
「どうしたの? 何があったの?」と聞きました。
「頭が痛くてずっと寝られなかったんだよ。なのに、みんなは寝てるし……」
独り頭痛と闘ったのが相当つらかったようです。
熱を測ってみると38度オーバー。
〝コロナかも……〟と思った私たちは、
東京都発熱相談センター、病院、学校、会社、いろいろな所に電話をかけました。
近所の病院で検査を受けると、5分で「陽性」の診断を受けました。
家が狭いので、弟は東京都の宿泊療養施設に送ることに。
すぐに電話をしたのですが、迎えが来るのは翌日になると言われ、
その日は、最大限、換気のできる部屋で、母と弟が寝ることになりました。
弟の頭痛は良くなったのですが、熱が高く、足が痛いと言っています。
〝え? コロナで足、痛くなるか?〟と思いましたが、
朝泣いていた弟がかわいそうで、足をさすってあげました。
本当は弟を部屋に一人にして、完全に隔離するべきなのでしょうが、
実際は、空間的にも、心情的にも、私の家では難しかったです。
弟を療養施設に送ってからは、家中の窓を開け、
スプレーでシュッシュッシュと除菌。
やっとマスクを外して、落ち着きを取り戻しました。
そうすると、本当に寂しくなります。
もちろん、弟がいなくて寂しいのではありません。
週末の予定は全てキャンセル。
会社も在宅にしてもらっているので、まぁ、人に会いません。
家族もできるだけ接触を避けているので、本当に人と接することがない。
〝寂しい!〟と夜、友達に電話すると、ブチッと切られて、
「ごめん。今、MTG中」とメッセージが……。
もう、寂しくて病気になりそうです。
やっぱり、人は一人で生きていけないなぁと思った隔離期間でした。
玉