ある平日の朝のことです。
夫と子供たちが家を出るときになって、保育園の連絡帳をうっかりどこかに置き忘れてしまったことに気づきました。しかたがないので、いつも連絡帳を入れて持たせているカバンを、空のまま息子(4歳)に渡しました。
カバンが軽いことにすぐに気づいた息子が、「何も入ってないよ?」とすかさずつっこんできました。出勤前で慌ただしくしているときだったので、夫に手短に事情を説明し、先生に一言伝えてほしいとお願いしました。
そして、息子には「きょうは連絡帳の代わりに、ママの愛情をカバンに入れておいたから!」と言って送り出そうとしたのです。すると、息子が急に座り込み「〝あいじょう〟が入ってるの?!」と言って、カバンの中を探し始めました。
まるで、「チョコレートが入っているよ!」と言われたかのようなテンションで、一生懸命に〝あいじょう〟を探すのです。私は、「ごめんね。目には見えないんだ」となだめて、早く出発させようとしました。ところが、「カバンに入れたって言ったよね?! なんでないの?! 僕もあいじょうが欲しい! あいじょうちょうだいよ!」と、愛情を強く要求されました(笑)。
話は変わりますが、『世界家庭』は月刊誌なので、毎月一回、印刷に入るまでの数日間、とても忙しくなります。そして、不思議なことに、ほぼ毎月、その時期になると子供たちが体調を崩すのです。
これは夫もとても不思議なようで、「大体、いつ体調不良になるか分かるから便利だね」と冗談で言ってきます。きっと子供たちは、私の意識が自分たち以上に仕事に向いていることを鋭く感じ取っているのだと思います。
子供たちは、言葉や体調を通して、愛情が欲しいことを素直に伝えてきます。しかし、大人になるとそれをストレートに相手に言うことができなくなり、さらに、察してくれることを期待するので、余計に、伝わらずにこじれていくように感じます。
よくよく考えてみると、夫とケンカする原因は、大抵が、「大切にされていない」と私が感じるときです。
これからはケンカになりそうになったら、息子のように「私は愛情がほしい! あなたの愛情をちょうだいよ!」とかわいく言おうと思います(笑)。夫に驚かれるとは思いますが、きっと、「さっき本当は○○って言ってほしかったんだけど」などという言い方よりは、よっぽど私の気持ちが伝わる気がします。
香