昨年4月に東京都板橋区から葛飾区に引っ越しました。
葛飾と言えば柴又、柴又と言えば、ご存じ、日本の国民的映画「男はつらいよ」の舞台です。
一見ちゃらんぽらんでありながら、義理人情に厚く、一本筋の通った「フーテンの寅さん」の生き様は、日本人の心の琴線に触れるものがありますね。
ところで、「寅さん」と聞くとよみがえる、真のお父様との思い出があります。
1993年、16万の「日本女性幹部特別修練会」で、韓国・済州国際研修院に行ったときのことです。
修練会の期間中、お父様は、み言の合間に修練生に歌を歌わせたりして、和やかな時間をつくってくださいました。
あるときお父様が、修練会の進行役を務めていた日本人男性に「歌を歌え」と言われました。するとその男性が、「男はつらいよ」のテーマ曲を歌い始めたのです。
この歌は、「フーテンの寅さん」が、不安定な稼業で日本中を流れ歩く我が身を省みつつ、かわいい妹への思いをつづったものです。
1番は、
「♪俺がいたんじゃ お嫁にゃ行けぬ
わかっちゃいるんだ 妹よ
いつかおまえの 喜ぶような
偉い兄貴に なりたくて
奮闘努力の 甲斐もなく
今日も涙の 今日も涙の
日が落ちる 日が落ちる」
そして最後はこうなります。
「♪男というもの つらいもの
顔で笑って 顔で笑って
腹で泣く 腹で泣く」
私は、「えっ、お父様の前で寅さん?」と、その意外なチョイスに驚き、お父様の反応に興味津々だったのですが、お父様は終始、楽しそうに聞いておられました。
そして、なんと、最後の「腹で泣く」のところを一緒に歌われたのです。しかも、とても気持ち良さそうに、節を付けてうなりながら!
私は、お父様がこの歌をご存じだったことがうれしく、また一緒に歌われたのもうれしくて、心がほっこりしたのを覚えています。
お父様がその歌詞に共鳴されたのかどうかは分かりませんが、お父様には「メシヤはつらいよ」と言いたくなることが数限りなくあったに違いありません。お父様こそ、「顔で笑って腹で泣く」、正にそういう人生だったのだと思います。
その修練会でのみ言はあまり覚えていないのですが(お父様ごめんなさい、御言集で勉強します^_^;)、この「お父様と〝寅さんの歌〟」の思い出は今も心に深く残っています。
晶