共産主義の新しいカタチ 55

 現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
 国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)

日本人と天皇の意味を分析
ルース・ベネディクト①

▲ルース・ベネディクト(ウィキペディアより)

 日本文化論の『菊と刀』を書いた米国の人類学者ルース・ベネディクト(18871948)は、マーガレット・ミードとは同じボアズ学派に属する「姉弟子」でした。彼女は元来、日本文化を専門とする文化人類学者ではありませんでした。ポストモダン思想は「反西欧」から知日へ向かう傾向がありますが、今回はベネディクトと米国が日本の「天皇制」について考えた問題について若干触れてみましょう。

 前回取り上げたミードに対して、師のボアズ教授と共に「先輩」のルース・ベネディクトの影響が極めて大きいとデレク・フリーマンは述べています。

 ベネディクトと言えば、日本人にとって『菊と刀』で知られるように、ミード以上に日本になじみ深い文化人類学者と言えるかもしれません。

▲『菊と刀』(現代教養文庫)

 とはいうものの、『菊と刀』は今日、外国人による画期的日本文化論という歴史的評価にもかかわらず、「文化の型」というカテゴリーを武器にして、日本を「外的な恥の文化」と断じ、「国策による対日戦争と占領政策を正当化した書」という側面を否定することはできません。

米軍戦時情報局の海外戦意分析課で働く
 さて、ルース・ベネディクトが、国策に基づき「日本文化の型」を分析・研究した『菊と刀』の原型となった報告書では、特に文化間の優劣を斟酌(しんしゃく/相手の事情や心情を酌み取ること)するような研究ではなく、むしろ極東軍事裁判で昭和天皇の「戦争責任」を訴追する勢力に対し否定的なアドバイスを行ったようです。
 この点、ポーリン・ケント龍谷大学助教授が「『菊と刀』 のうら話」と題する論文で、対日戦争の最中、米軍の戦時情報局の海外戦意分析課で働いたベネディクトを次のように述べています。

 1944年に入ると、戦争の中心がだんだんヨーロッパから太平洋の方へ移ります。そこで日本という敵国に ついて情報を集める必要性が生じ、夏から海外戦意分析課が設立されます。ここでは日本の軍隊と市民はいつまで戦う気かを予想することが仕事の中心で、文化人類学以外にも、政治学、社会学、心理学、日本のことをよく知っている日系人などの専門家30人ぐらいが集まって課が構成されました。

 ですから、ベネディクトが一人で日本のことを調べていたのではなく、大きな研究チームで行いましたので、早いペースでたくさんの情報を処理することができました。

 海外戦意分析課では、主に海外で捕虜となった日本の兵士の面接データを分析して日本人の考えていることを想定しました。例えば、日本人は天皇についてどう考えているかということも大きな課題でした。何千人のデータのうちの3千人ぐらいが天皇について何かをコメントし、そのうちたったの7人しか悪口を言っていません。

 ここから日本人にとって天皇が大変重要な存在であることが判明しました。連合軍にとって天皇はヒトラーのような存在で、当然死刑にすべきだと信じていました。しかし海外戦意分析課では、天皇を死刑にすれば日本の社会的秩序が一気になくなるだろうと予測しました。

 ちょうど終戦前、天皇の問題をどう扱うかを決める会議が行われ、情報局の代表として出席したのがレナード・ドゥーブという人だったのですが、彼女はベネディクトのことをよく知りその判断力を尊敬していましたので、ベネディクトに相談しています。

 ベネディクトは、天皇を死刑にすれば日本人は絶望的になる、ヒトラーと同じように扱うことは事実の単純化にすぎない、などとアドバイスしました。結局、会議ではプロパガンダで天皇の悪口を言ってはならない、天皇の死刑は占領に悪影響をもたらすだろうという方向づけがなされ、天皇を特別扱いにする結論となりました。

(続く)

「思想新聞」2024年3月1日号より

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