世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

ウクライナと米国、30日間の停戦で合意

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、3月10日から16日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 「黒人の命は大切」路上文字を消去、米国ワシントンD.C.(3月10日)。米国とウクライナ高官会議開催、停戦合意し共同声明発表(11日)。トランプ氏、ゼレンスキー氏を再び招待すると表明(11日)。中国で消息不明の教授・胡士雲氏、日本に戻っていたことが判明(14日)。自動車25%関税「日本除外せず」、米長官(14日)。米国、韓国を「センシティブ国」指定と判明(15日)。米大統領、イエメンの反政府勢力フーシへの大規模攻撃を命じる(15日)。ウクライナ製新型ミサイル、発射成功(15日)、などです。

 米国とウクライナの高官協議が3月11日にサウジアラビアで開催され、両国は30日間の停戦で合意し共同声明を発表しました。
 要点は以下のとおりです。

・ウクライナがロシアとの30日間の一時停戦を受け入れる

・米軍は一時停止したウクライナへの軍事支援と機密情報の提供を即時再開する

・米国はロシアに対し、その対応が平和実現の鍵と伝達

・ウクライナの鉱物資源の共同開発に関する協定の早期締結で合意

 停戦案は米側が提案し、ウクライナ側が受け入れたものです。この結果、一時停止していたウクライナへの情報共有を直ちに解除し軍事支援を再開することになりました。
 ルビオ国務長官は協議後、記者団に「ボールはロシア側にある」と述べています。

 トランプ政権は、2月28日の両国大統領の会談決裂以来、ウクライナに対する軍事支援や機密情報共有を停止していました。

 米NBCニュースは、トランプ氏は支援再開の条件として、鉱物資源の権益に関する協定への署名に加え、ロシアに領土を明け渡す意思があるかどうかを含む、ゼレンスキー氏の和平に対する姿勢の変化を確認したい意向を持っていると報じていました。

 またルビオ国務長官は10日、ウクライナがロシア軍をクリミア半島併合前の2014年の状態まで押し戻す可能性について、「非常に困難だ」と記者団に語っていました。

 さらにNBCニュースは、トランプ氏の意向として、ゼレンスキー氏が大統領選の実施や自らの退任に向けての動きを取ることを望んでいるとも報じていました。

 11日の会談においてどの程度の話し合いがなされたかは、今後明確になっていくでしょう。

 米国からの停戦案受諾、ロシアとの30日間の停戦案は、事実上、ウクライナにとってはロシア軍占領地奪還を断念する方向に舵(かじ)を切ったことを意味します。
 今は譲歩してでも米国の支持を取り付け、この先の停戦交渉でできるだけ有利な条件を勝ち取る方向に転換したのでしょう。

 占領地に対するロシアの法的主権を認めないこと、ロシアの再侵略を防ぐための「安全の保証」を米国に求めていくことなどがその内容です。

 全占領地の武力奪還は困難だと強く示唆しつつも、「領土は放棄しない」との原則的立場を維持する覚悟でしょう。
 東・南部4州のうちドネツク、ヘルソン、ザポロジエの3州はウクライナ側が3、4割の面積を保持している現実もあります。

 これまで、停戦はロシアに軍備の立て直し時間を与えてしまうとして、即時停戦にも否定的な立場でしたが、過去1年半以上にわたり、ロシア軍に劣勢を強いられており、インフラ攻撃や国民の国外退避で経済も疲弊しています。

 最近の世論調査でも「領土的譲歩をしてでも停戦すべき」との声が強まっていました。
 今後のロシアの動きに注目しましょう。



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