世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

トランプの影におびえる全国人民代表大会開幕

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、3月3日から9日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 米がメキシコなどに25%の関税措置、3月4日発動を明言(3月3日)。米が対ウクライナ軍事支援の一時停止を発表(3日)。中国、米農産物に最大15%の報復関税を発表(4日)。メキシコも米国に報復関税を表明(4日)。米高官、台湾防衛費GDP比10%、日本には3%を主張(4日)。ウクライナ大統領、米との関係修復に意欲(4日)。中国の全人代(全国人民代表大会)開幕、国防費7.2%増(5日)。台湾巡り日本に警告、中国大使「平和損なう」(5日)。仏大統領「核の傘」発言、ロシアは猛反発(5日)。トランプ氏、日米安保に「不満」再び(6日)。韓国、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が拘置所から釈放(8日)、などです。

 中国の全人代が3月5日、開幕しました。およそ1週間の日程で行われます。

 さてトランプ第2次政権は、中国を「主敵」、最大の脅威であると明確に位置付け、国内外に向けて次々に実効性のある政策(主に大統領令)を打ち出しています。

 一方、中国は「核心的利益の中の核心」である中台統一を急ぐ姿勢を明確に打ち出しており、「目標年」は人民解放軍創設100年となる2027年までとの説が一層説得力を持つようになってきています。

 目立ったのは国防予算増額です。経済停滞が顕在化する中では「異常」です。トランプ政権は本格的な対中「攻勢」態勢の準備段階として、ウクライナ戦争を停戦へと進めようとしています。

 この動きを見据えながら習近平政権はこの一年、揺らぐ経済と一党独裁体制を抱え、米国への対応策として、対日、対台湾攻勢を強めてくるとみられます。
 それは間接侵略、超限戦(※)としての日米離間、台米離間工作となるでしょう。

 李強首相は5日、政活動報告(所信表明に当たる)を、予算案を含めて行いました。
 そのポイントは以下のとおりです。

・2025年のGDP成長率目標は5%前後

・国防予算は前年比7.2%増の1兆7846億元(約36兆7600億円)

・より積極的な財政政策と適度な金融緩和政策を実施

・大手国有銀行に資本注入

・台湾独立と外部勢力の干渉に反対

 などです。

 中国の国防費は、1990年以降一貫して伸び続けています。
 今年の予算額は日本の国防予算案(8兆7005億円)の約4.2倍。国防費の公表が始まった1978年と比べて100倍超になります。

 特に政府活動報告では、宇宙やサイバー、人工知能(AI)などのハイテク分野を指す「新たな質の戦闘力」を強化する考えを示して、「国家の主権、安全、発展の利益を守る」と強調しました。

 注目すべきは、巨額の国防費が先端技術を導入した装備や情報システムの開発に重点投入される模様だということです。
 軍機関紙・解放軍報は3月5日の社説で、2027年の軍創設100年を念頭に「ここ数年が国防と軍隊建設における重要な時期だ」と訴えています。

 一方で、今後中国は台湾との「経済・文化の交流と協力を促進する制度と政策を整える」と表明しました。
 中国政府は今年1月、上海市や福建省からの台湾団体旅行の再開を発表。交流の恩恵にひかれる台湾の起業家と頼政権との分断を加速させる狙いとみられます。

 注目すべき米中首脳会談が近づいています。共産党はその下準備としての超限戦、台湾を舞台にした「宣伝戦」を計画しています。

 中国が宣伝戦の対象として狙うのは、台湾で高まる「対トランプ懐疑論」のまん延です。その上で取引を好むトランプ氏との直接対話に持ち込む算段とみられるのです。激しい情報戦が展開されるでしょう。

 習政権の対日工作も警戒すべきです。台湾有事に巻き込まれる危険性をことさら強調し、対中強硬策から距離を置くべきと脅すのです。
 昨年の自民党総裁選はまさにその様相を呈していました。正念場に立つのは日本も同じなのです。

※超限戦:軍事と非軍事の境界が曖昧で、軍事的な武力攻撃以外の手段も用いて相手国を攻撃する戦争形態を指す。近年では「ハイブリッド戦」とも呼ばれている。



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