2025.03.09 22:00
ダーウィニズムを超えて 101
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。
統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著
第八章 宇宙の統一原理に向けて
(四)宇宙は永遠か
(1)ビッグクランチか、空っぽの無か
リンデのスカラー場モデルによれば、真空エネルギーは私たちの領域では最終的に負に転じ、この領域は収縮を始め、一点に固まったビッグクランチ(big crunch)へと崩壊する。一方、真空エネルギーが現在のまま不変で、宇宙が加速膨張を続けるとすれば、やがて宇宙は空っぽの無になる。
(2)サイクリック宇宙か
ヒンドゥー教のシヴァ神の踊りは、創造と破壊の無限のサイクルの象徴である。宇宙論における同じようなアイデアは、膨張と収縮のサイクルを繰り返す「サイクリック宇宙」あるいは「振動宇宙」と言われる。それは1930年代に注目されたが、その後すたれてしまった。熱力学の第二法則と明白に矛盾するためであった。アレックス・ビレンケンによれば、
エントロピーは乱雑さの度合いのことであるが、第二法則によると、エントロピーは宇宙の進化のどの段階でもつねに増大しなければならない。もし宇宙がすでに無限回のサイクルを経ているのだとしたら、宇宙はエントロピーが最大の状態、すなわち熱的つりあいの状態に達しているはずである。私たちは、明らかにそのような状態にいない。これが前にも述べた「熱的死」の問題である(*50)。
ところが振動する宇宙のアイデアは、2002年にポール・スタインハート(Paul Steinhardt)とニール・トゥロック(Neil Turok)によって新しい装いを与えられて、息を吹き返した。ニール・トゥロックはサイクリック宇宙について次のように説明している。
ここで、何らかの理由で、真空エネルギーは完全に安定ではないと想像してみよう。だとすると、数百億年の未来までには、真空エネルギーは徐々に崩壊しはじめるかもしれない。真空エネルギーがこのように崩壊して、次第に小さくなり、やがて負になっていくような数学的モデルは、容易に作ることができる。元々は斥力的だったものが、やがて引力的になるわけで、すると宇宙は収縮し、崩壊しはじめる。……宇宙が大きさゼロにまで収縮すると、宇宙は特異点に達する。すると宇宙はリバウンドを起こし、放射で満たされ、再び膨張し始めるというのが妥当な展開だと思われる(*51)。(太字は引用者)
*50 アレックス・ビレンケン、村田陽子訳『多世界宇宙の探検』日経BP社、2007年、288頁。
*51 ニール・トゥロック、村田三知世訳『ここまでわかった宇宙の謎』日経BP社、2015年、181頁。
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次回は、「永久インフレーション、マルチバース」をお届けします。