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ダーウィニズムを超えて 97

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第八章 宇宙の統一原理に向けて

(三)対称性の破れ

3)ネーターの定理
 ネーターの定理(Neother's Theorem)とは、「系に連続的な対称性がある場合、それに対応する物理量の保存則がある」というもので、レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒルは次のように説明している。

 われわれ科学者が知ったのは次のことだった。もしも物理法則が時間の経過とともに変わるなら、エネルギー保存則は成り立たないということだ。……今われわれは、自然のもっとも重要な関係のひとつを垣間見(かいまみ)た。それは、“エネルギー保存則は、物理法則が時間が経っても変わらないことと関係がある”ということだ。これは「ネーターの定理」として知られる、より一般的で深い意味を持つ定理の一例である。この驚くべき数学的定理は、物理学の保存則を、「対称性原理」[変換をほどこしても変わらないという点に注目する考え方]に結びつける。その定理を証明したのは、20世紀前半に登場した、もっとも偉大な物理学者にして数学者のひとりである、エミー・ネーター(Emmy Neother)だった。ここで重要なのは、物理法則の不変性[物理法則は時間が経っても変わらないこと]は、物理法則の連続的対称性[物理法則は、ある連続変換をほどこしても変わらないこと]だということだ(*41)。(太字は引用者)

4)ゲージ対称性
 素粒子物理学でよくでてくるゲージ対称性(gauge symmetry)とは、物理量を測る時、その大きさが、ものさし(ゲージ)の目盛りによらないことをいう。これを保証するためにはゲージ場というものが必要である。電磁力や弱い力、強い力は、この場から導かれる。

 レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒルは、「基本的な対称性の概念とネーターの定理が、自然界のすべての力を支配している統一原理の発見へと導いた」と言う(*42)。


*41 レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル、青木薫訳『量子物理学の発見』文藝春秋、2016年、128129頁。
*42 レオン・レーダーマン、クリストファー・ヒル、小林茂樹訳『対称性』白揚社、2008年、99

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 次回は、「対称性の自発的破れ」をお届けします。


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