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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

「ディープシーク・ショック」、中国産AIモデルの衝撃

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、1月27日から2月2日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 中国AI(人工知能)新興企業「ディープシーク」の新モデルが米市場を揺らす(1月27日)。中国、米国からの移民送還受け入れへ、米は制裁強化などの圧力(27日)。トランプ氏、トランスジェンダーの米軍入隊を制限、DEI(多様性、公平性、包括性)撤廃も(27日)。米政権、連邦政府職員200万人に退職勧奨、奨励金提示(28日)。イスラエル、UNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)活動禁止法を施行(30日)。米が空爆実施、IS(イラクとシリアで発生したイスラム過激派組織)攻撃計画者ら標的(2月1日)、などです。

 中国の新興AI企業「ディープシーク」が1月末、米国の株式市場を揺さぶりました。「ディープシーク・ショック」といわれています。
 その発端は1月20日、ディープシークが論理的な能力に特化したAIモデル「R1」を公開したことです。

 ディープシーク側は、米国のオープンAI「チャットGTP」にも使う基盤モデル「o1」に匹敵する能力だと主張しました。
 さらに昨年末に公開したAIモデルの学習にかけた開発費用はわずか557万ドル(約8億7000万円)だったと語ったのです。

 米国では、中国のAI分野での台頭を警戒し、高性能半導体の輸出を規制しているにもかかわらず、極めて安い開発費で米主要企業のAIの性能を一部上回ったというのです。

 米国のAI分野での優位性が崩れるとの見方から、米株式市場では半導体大手「エヌビディア」などの関連株が急落。1月27日の株式市場で、前週末比17%暴落。時価総額が約6000億ドル(約92兆円)吹き飛んでしまったのです。
 米CNBC(Consumer News and Business Channel)テレビは、一日の消失額としては史上最大であると報じました。

 中国はディープシークの成果を喧伝(けんでん)しました。
 国営新華社通信は1月29日、「技術革新の波を引き起こし、世界的なAIの継続的な進歩を促進する」と報道。米国による半導体規制下でもオープンAIの「チャットGPT」より低コストで開発できたと強調したのです。

 共産党機関紙・人民日報もまた、「春節(旧正月)前夜、国産のAIモデルが国内外で一気に人気を集めた」との記事を掲載しました。

 中国の新興AI企業「ディープシーク」の創業者は、梁文鋒氏。1985年広東省で生まれ、浙江大学で情報工学の修士号を取得しました。2015年にヘッジファンドを設立し、その後AIを活用した株取引で成功。ディープシークの設立は2023年の新興企業です。

 ところが1月29日、衝撃的なニュースが発信されました。
 ブルームバーグによれば、マイクロソフトとオープンAIはディープシークと関連ある組織がオープンAIの技術から出力されたデータを不正な方法で入手したかどうかを調査中だというのです。

 マイクロソフトのセキュリティー研究者はディープシークと関連があるとみられる複数の人物がオープンAIのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使用して大量のデータを流出させているのを確認したといいます。

 トランプ政権でAIと暗号資産を担当するデービッド・サックス氏は、ディープシークがオープンAIから「蒸留」した証拠があると語りました。

 蒸留とは、AIモデルを新規開発する際、大量のデータを学習済みの既存AIモデルに質問させながら訓練させ、論理を模倣させる方法をいいます。
 オープンAIは規約上、蒸留を禁じています。これが事実であれば技術を不正利用したことになるため、現在、米政府が調査を開始したというのです。

 さらにレビット米大統領報道官は1月28日の記者会見で、ディープシークが発表した生成AIの新モデルについて安全保障上の影響を国家安全保障会議(NSC)が調査すると述べています。

 ディープシークのAIモデルに対して疑念が指摘されています。

◆禁止されたチャットGPTからの「蒸留」で開発した疑惑

◆実際の開発費は5億ドル(780億円以上)との指摘

◆ニュースなどへの正答率(17%)が低く「高性能」に疑義

◆中国の情報統制や当局への情報漏洩の不安

 などです。

 複数の政府機関が使用禁止措置を行使しています。
 今後の展開は不透明ですが、中国への警戒心がさらに深まるのは避けられません。



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