2025.01.29 17:00
共産主義の新しいカタチ 48
現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)
「心霊」への科学的アプローチ
ウォレスと「精神世界」③
「知的設計者」の考えの先駆者に
ウォレスは、人類の肉体については、確かに自然淘汰説で説明できるものの、精神については違うと見て、知性や道徳・心は、別の道筋をたどって発展し、特に「良心」は発見されざる何らかの力の導きによって創られたのではないか、と考えました。宇宙の目的とは、精神の進化を促し、「地球の物質的な不完全性」さえ、無作為ではなく目的があり、何らかの「高次の力によって計画されている」のではないか、と。
そして人間に特有な崇高の感情について、「冬の寒風や夏の灼熱も、火山も、つむじ風や洪水も、不毛の砂漠も、暗い森も、すべてが“刺激”として働き、人間の知性を発達させ、鍛えてきたのではないか。その一方で、世界中のどこにでも常に存在する抑圧と不正、無知と犯罪、悲嘆と苦痛は、正義や、憐れみや、思いやりや、愛といった、より高邁な感情を訓練して鍛える手段だったのではないか。それらの感情は、人間が自らの最も崇高な特質と考えるもので、他の手段で発達してきたと考えるのはまず不可能だ」とし、「こういう見事な計画者が存在する」証拠を探すため、超常現象を調査したのです。
このウォレスの考えはまさに、「20世紀の創造説」ともいうべき「知的設計」(インテリジェント・デザイン)の理念そのものと言えましょう。まさに彼は機械的還元主義の限界を見通していたのです。
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ここで、ウォレスが心霊主義に傾倒したことを記したデボラ・ブラムの『幽霊を捕まえようとした科学者たち』についてもう少し論じてみましょう。
同書の原題は『ゴーストハンターズ』で、主人公は、プラグマティズムで著名な哲学者ウィリアム・ジェームズ。プラグマティズムと言っても、デューイのような「即物的道具主義」ではなく、ジェームズがいかに科学的あるいは論理的に、彼岸の世界(霊界)や霊的存在を真剣に記述しようとしたのかが描かれます。
ハーバード大教授の地位を顧みず「心霊研究」に没頭したジェームズ、そしてダーウィンの「警告」を制して心霊研究に没頭したウォレス、物理学者でSPR(心霊現象研究会)設立者のW・バレットやノーベル物理学賞受賞のキュリー夫人、血清療法の生みの親シャルル・リシェなどの著名科学者、さらにコナン・ドイルやマーク・トウェインなどの文豪や霊能者に身近に接していた深層心理学のユングなども、こうした「ゴーストハンター」に名を連ねているのです。
その一方で、ダーウィンをはじめ電磁気学の権威だったマイケル・ファラデーや稀代の発明家トマス・エジソンらは、まさに唯物的な「アンチ・ゴーストハンター」と位置づけ、本書を、「科学思想上の闘争史」としての一面を浮き彫りにしている点が興味深いと言えましょう(ただし、エジソンは1910年にジェームズが没し、ジェームズの霊魂が地上に降臨したと世情で話題になった時、「人間は細胞の集合に過ぎず、脳は素晴らしい機械に過ぎない」と唯物論者でしたが、後に晩年は死者との通信機を試みるなど心霊研究に没入した「転向者」)。
その時代背景としては、19世紀末から20世紀前半にかけての出来事で、後世のいわゆる「インテリジェント・デザイン」(「神」や「サムシング・グレート」など「知的設計者による創造」を認める考え)に与するのが前者の「ゴーストハンター」であり、「進化論」をさらに敷衍(ふえん)した現代版「アンチ・ゴーストハンター」の代表が「利己的遺伝子」で有名なリチャード・ドーキンス博士で、彼は「神は妄想である」という本まで書いて「唯物無神論」の「伝道者」となっているのです。
その意味で「有神論」か「無神論」かという「科学思想上の闘争史」は、今なお古くて新しい問題であると言えるでしょう。
★「思想新聞」2024年12月15日号より★
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