2025.01.27 22:00
宣教師ザビエルの夢 78
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「宣教師ザビエルの夢」を毎週月曜日配信(予定)でお届けします。
1549年8月15日、鹿児島に一人の男が上陸した。家族や故郷を捨て、海を渡った男が、日本で夢見たものは何か。現代日本に対する彼のメッセージを著者が代弁する!(一部、編集部が加筆・修正)
白石喜宣・著
第六章 ザビエルの願いをたずねて
二、二つの出会い
●サン・トメでの祈り
ロヨラとの出会い、ヤジローとの出会いは、ザビエルを動かした人格的出会いでしたが、ザビエルをして「東洋の使徒」とならしめた、より内的な要因は、過去の聖人らと通じるその深い祈りにありました。
ザビエルがインドで活動している時、サン・トメ(現在のマドラス郊外)に滞在しました。ここはかつて、十二使徒の一人の聖トマスが宣教に訪れ、殉教したと伝えられるところで、聖トマスの墓所がある町でした。ここでザビエルは、神のみ旨を心に深く感じ、み旨遂行の決意を固められるよう、祈りに専心したのです。このようにして、さらに東に赴くことが神のみ旨であることを「深い内心の慰めのうちに感じ、悟るに」至ったというのです。(河野純徳訳、『聖フランシスコ・ザビエル全書簡Ⅱ』平凡社、1994年)
ザビエルのこの地での祈りは、聖トマスの使命を相続、継承することでした。祈りの内に一つになり、神様のさらなる願いを感じ取っていたのです。彼は、ここで授かった聖トマスの遺骸の一部を小箱に納め、生涯首にかけていたといいます。ザビエルの東洋への派遣は、まさに使徒トマスのごとき、イエス・キリストからの派遣の継承となりました。
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次回は、「イエス・キリストへの敬愛」をお届けします。