2025.01.21 17:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
尹錫悦大統領を拘束、逮捕へ
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、1月13日から19日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
イスラエルとハマスがガザ地区の停戦で合意、発効は1月19日(1月15日)。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が合同捜査本部捜査官によって拘束される(15日)。韓国与党の支持率が最大野党を逆転(17日)。トランプ氏と習氏が電話会談で米中貿易を議論、台湾問題ではけん制も(17日)。ロシアとイランが「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名、多分野連携も軍事同盟は想定せず(17日)。トランプ氏、ケネディ元大統領とキング牧師の暗殺に関する機密文書の公開を明言(19日)、などです。
尹錫悦大統領の「非常戒厳」(昨年〈2024年〉12月3日)を巡り、1月15日、公捜処(高位公職者犯罪捜査処)や検察などによる合同捜査本部の捜査員らが、尹氏の身柄拘束のため大統領公邸に突入しました。
公捜処は、尹氏が「職権を乱用し、憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした」とし、内乱の「首謀者」とみています。現職大統領の身柄拘束は史上初めてのことです。
ここで公捜処について説明しておきます。
「公捜処」は、高位公職者犯罪捜査処の略称です。「公捜庁」や「高捜庁」といった表記もあります。
公捜処は、韓国の警察や政府高官の不正を調べる捜査機関であり、政府から独立して運営するとしています。左派革新系の文在寅(ムン・ジェイン)前政権の2021年に発足しました。
文前政権は、検察が恣意(しい)的な捜査で政界に影響を及ぼしてきたと主張し、検察への権力集中を削ぐ目的で高官や検事らに対する捜査権を公捜処に移したという経緯があります。
なお、公捜処には大統領を内乱容疑で捜査する権限、起訴する権限はありません。検察が公捜処の捜査で集めた証拠を基に起訴の可否を判断するのです。それで合同捜査本部を組織して進めているとみられます。
大統領は憲法で不訴追特権が保障されていますが、内乱罪は例外とされています。
実は、尹氏は検事総長時代、公捜処の創設に抵抗していたのです。
拘束(日本では逮捕)された尹氏は、公捜処の庁舎で事情聴取を受け、ソウル西部地方裁判所(ソウル西部地裁)に移され、検察による取り調べを受けて19日に20日間の拘留請求が認められたのです。尹氏はソウル拘置所に移送されました。
弾劾裁判は1月14日に始まったばかりです。弾劾が妥当かどうかの判断もなされていない状況にもかかわらず、「逮捕」ありきで動いているように思われます。尹氏支持者のみならず一般国民にも、逮捕を急ぐ必要性が不明確であるとの受け止めが広がっているといっていいでしょう。
ここで尹氏側の主張をまとめておきます。
「非常戒厳の宣言」について追訴側(国会での弾劾訴追案は可決されているので追訴とします)は、「国会の正当な行為を『反国家的』として、国会の無力化を企図した」との主張ですが、尹氏側は「国民に巨大野党の反国家的な悪を知らせる警告であり、動機として不正選挙疑惑がある。多くの情報提供を受け、民主主義の根幹を揺るがす不正選挙の疑惑を明らかにすることが大統領の責務だと考えた」とし、投票用紙の無断印刷やサイバー攻撃による投票結果の書き換えなどの疑惑を詳しく述べています。
「非常戒厳の宣言」について追訴側は、「戦争などの非常事態になく、宣言は不可。正式な閣議も経ずに手続き違反である」と主張。尹氏側は「憲法に定められた大統領の権限であり統治行為である」としています。
さらに「非常戒厳の宣言」について追訴側は「内乱罪に当たる。軍を使い国会議員の議決権を侵害、職員に暴行した」と主張。尹氏側は「衝突や人命被害もなく6時間で解除された。暴動には当たらない」と反論しています。
韓国ギャラップ(革新系)が17日、世論調査(14~16日)結果を公表しました。
それによると与党「国民の力」の支持率が39%。政党支持率が5カ月ぶりに左派系最大野党「共に民主党」の支持率(36%)を上回ったのです。
特に、18~29歳、30代の支持が前回から2~3ポイント増えました。尹氏に対する支持率も急上昇しています。
これは、2016年に朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾訴追された際、保守系与党セヌリ党の支持率が低迷した状況とは明らかに違っており、尹氏側の説明が浸透しつつあるといえるでしょう。
追訴側を主導する「共に民主党」とその追随者が、尹氏の罷免を急ぐ「理由」を挙げておきます。それは代表である李在明(イ・ジェミョン)氏の裁判事情です。
昨年11月15日、李氏は公職選挙法違反事案で一審有罪判決を受けました。今後、今年1月23日に控訴審の初公判が行われ、2月15日までには控訴審判決が出ます。
法律に従えば3カ月以内の5月15日までには確定判決が出されることになります。すなわち、6月までに最高裁判決が出る可能性が高いのです。有罪が確定すれば「被選挙権」を奪われ、大統領選には出馬できません。これが「急ぐ」理由です。
支持率の変化は、これらの「事情」を国民が理解し始めたということなのです。
尹氏の「非常戒厳」は確かに「悪手」(結果として自分を追い込むことになる)でした。
しかしこの道しか選択肢がなかったというのが尹氏の心境ではないでしょうか。
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