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ダーウィニズムを超えて 92

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第八章 宇宙の統一原理に向けて

(二)宇宙定数の謎

5)理論値と観測値の大きな間隔 —宇宙定数問題—
 宇宙定数Λ(ラムダ)の予測値と測定値は10120乗倍も食い違っていた。これを「宇宙定数問題」という。もしΛの値が本当に、理論から予測されるような大きな数だったとしたら、ミシガン大学物理学教授のキャサリン・フリース(Katherine Freese)が言うように、「巨大な真空成分に比べれば物質はほぼ無視でき、宇宙は生まれた直後から加速膨張していたことになる。そのような字宙は、どんな種類の生命も絶対に育むことができず、私たちが住んでいる世界とは明らかに違う(*20)」のである。そしてここに二つの疑問が出てくると、キャサリン・フリースは言う。

 一つめは、本来の宇宙定数問題。観測されるΛの値は、なぜ理論から予測されるような巨大な値ではないのだろうか? 二つめの疑問として、どうしたら真空エネルギーはこのような小さい、しかしゼロではない値を取りうるのか? それは何に由来するのか? 小さい値の由来を説明するのは、ゼロという値を説明するよりさらに難しい(*21)。


*20 キャサリン・フリース、水谷淳訳『宇宙を創るダークマター』日本評論社、2015年、262頁。
*21 同上、263

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 次回は、「われわれは『特別な』時期に生きている」をお届けします。


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