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ダーウィニズムを超えて 91

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第八章 宇宙の統一原理に向けて

(二)宇宙定数の謎

4)臨界密度にぴたりと一致する宇宙
 宇宙全体において、膨張の勢いと物質間の引力がちょうど釣り合うような密度が存在し、この値に一致したときに宇宙は平坦(フラット)なものとなる。実際の宇宙の密度がこれより小さければ開いた宇宙、大きければ閉じた宇宙ということになる。

 アレックス・ビレンケンは宇宙の物質の密度が臨界密度—宇宙全体において、膨張の勢いと物質間の引力がちょうど釣り合うような密度——の境界付近にあるためには、最初の密度がきわめて高い精度で微調整されなければならないと、次のように言う。

 ビッグバンのもうひとつの謎めいた特徴は、すべての粒子を互いに吹きとばす突風の勢いと、宇宙の膨張を遅くする重力の間の見事なバランスです。もし宇宙の物質の密度がもう少し高ければ、重力は膨張を止めるのに十分なほど強く、宇宙は最終的に収縮に転じるでしょう。もし宇宙の物質の密度がもう少し低ければ、宇宙は永久に膨張し続けるでしょう。観測された密度は臨界密度の上下数パーセント以内で、ふたつのケースの境目付近にあります。これはとても奇妙であり、説明が必要です。……140億歳という現在の宇宙の年齢で、臨界密度とほぼ等しい密度であるためには、最初の密度がきわめて高い精度で微調整されなければならないのです。計算すると、ビッグバンの1秒後に宇宙の密度は、臨界密度の1パーセントの10兆分の1以内の精密さで、臨界密度に正確に一致していなくてはならないのです(*19)。(太字は引用者)


*19 アレックス・ビレンケン、村田陽子訳『多世界宇宙の探検』日経BP社、2007年、8182

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 次回は、「理論値と観測値の大きな間隔 —宇宙定数問題—」をお届けします。


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