2024.12.24 17:00
シリーズ・「宗教」を読み解く 347
イグナチオ・デ・ロヨラの霊性⑮
ミッション~イエズス会の修道士たちの強い使命感と実践力
ナビゲーター:石丸 志信
イグナチオと6人の同志から出発した新しい修道会「イエズス会」は、半世紀以内に5千人以上の会員を獲得するまでになった。
現在では、2万人以上の司祭、修道者を会員に擁する有数のエリート宣教集団として、全世界に宣教師を派遣している。
「イエズス会士たちが行かなかった国はなく、話さなかった言語もなく、ありとあらゆる迫害や拷問をその身に受けてきた」といわれるほどこの会は、4世紀半の間に、数多くの聖人、殉教者、学者らを生み出した。
南米パラグアイの宣教の物語を描いた、ロバート・デニーロ主演の『ミッション』という映画がある。
この映画のタイトル「ミッション」という言葉は、もともと「イエス・キリストによる派遣」という意味だったので、必ずしも「世界宣教」に限られたものではない。
聖霊の促しにより、神から託された「使命」を果たすのであれば、どのような行いであろうとよかった。
中世キリスト教の伝統をけん引してきた修道士たちも、修道生活を通してキリストに倣う生き方を追求することが神から託された「使命」と受け止めてきた。
ベネディクト以来の修道院の歴史は、刷新を繰り返しながら、1000年の歴史を経てきた。そして16世紀の半ば、宗教改革期、近世への大きな転換点に登場したのがイエズス会だった。
イエズス会の修道士たちの強い使命感と実践力によって、「ミッション」の第一義的な意味が「世界宣教」の意味で使われるようになってくる。
「イエスはまた彼らに言われた、『安かれ。父がわたしをおつかわしになったように、わたしもまたあなたがたをつかわす』」(ヨハネによる福音書 第20章21節)
新約聖書によれば、復活したイエスは、弟子たちにこのように伝えた。
五旬祭の日、聖霊降臨を体験した12使徒、120人門徒らは、新たな使命感に燃えて、困難や迫害をものともせず宣教に出かけていく。キリスト教の伝統がそこから始まった。
それから1500年の時を経て、「モンマルトルの誓い」をなしたイグナチオと同志らは、当初エルサレム巡礼を企図していた。
準備する中で、イエスが使徒たちに託した命令を思い起こしたことであろう。
その頃、イグナチオはローマ近郊のラ・ストルタ聖堂で祈っていると、明確な「イエスの示現」が与えられた。
この体験によって、神が自らをイエスの地上の友として選び、使徒たちと同じ使命が与えられたものと確信したのだった。
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