2024.12.10 17:00
世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~
尹大統領が非常戒厳を発令~不可解さと見えない真実
渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)
今回は、12月2日から8日までを振り返ります。
この間、以下のような出来事がありました。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が非常戒厳を発令、6時間後に解除(12月3日)。ロシアから北朝鮮に核技術流出とNATO(北大西洋条約機構)事務総長が発言(4日)。仏国民議会、内閣不信任案を可決(4日)。尹大統領、「非常戒厳」要請した国防相の辞任を承認(5日)。パラグアイ、「台湾との断交」を働きかけた中国外交官に国外退去命令(5日)。韓国、尹大統領の弾劾訴追案を否決(7日)。韓国前国防相を緊急逮捕、戒厳主導か(8日)。シリア、「アサド政権崩壊」を反体制派が宣言(8日)、などです。
12月3日午後10時ごろ、韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣布しました。
緊張が続く半島で、武力攻撃事態が発生したかと思いました。
しかし6時間後には解除。それも国会決議によって。さらに事態の一部始終はメディアの現地取材で報じられていました。戒厳令下ではあり得ないことです。
民主主義が機能したのかどうかという次元のことではなく、ただ尹大統領が発した戒厳令は「本気」ではなかったということなのです。
非常戒厳は金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防長官が建議し、多くの閣僚が反対したのですが、最後は尹氏が宣布を承認したといいます。
戒厳令の要旨は、以下のとおりです。
・国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなど一切の政治活動を禁止する。
・自由民主主義体制に対しての否定や、転覆を企図する一切の行為を禁止し、フェイクニュース、世論操作、虚偽の扇動を禁止する。
・報道と出版の統制をする。
・社会混乱を助長するストライキ、集会を禁止する。
・専攻医をはじめ現場を離脱した医療人は48時間以内に復帰。違反時は処断する。
・反国家勢力など体制転覆勢力を除いた善良な一般国民は、日常生活の不便を最小限にできるように措置する。
何一つ実施されないまま6時間後に解除に至りました。
韓国の憲法77条には、「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態」に宣布できるとあり、さらに国会で在籍議員(300人)の過半数が求めれば解除可能とあります。
韓国国会は12月4日未明、非常戒厳の解除要求決議案を出席議員190人全員賛成で可決。兎元植(ウ・ウォンシク)国会議長は、「大統領は直ちに戒厳を解除しなければならない。もう非常戒厳宣布は無効だ。国民の皆さまは安心してください」と発言し、戒厳体制は終焉(しゅうえん)したのです。
極めて不可解なのは「計画」の杜撰(ずさん)さです。繰り返しますが、発令された禁止事項と措置は全く実行されなかったといっても過言ではありません。
野党国会議員は議会に向かい、多少の軍との小競り合いはあっても議場に入り戒厳令解除を決議しました。そしてメディアは皆「現地で取材して発信していた」のです。戒厳令下ではあり得ないことです。
今回の非常戒厳令が、野党などが主張するように「親衛クーデター」を目的としたものであれば、当然最優先の掌握(占領)対象にならなければならないのは、公共機関、メディアや通信です。しかし国会以外には派遣されなかったのです。
すでに報じられていることなのですが、戒厳軍は非常戒厳が宣布されたわずか2分後、特殊要員と推定される10人余りの戒厳軍が中央選管委(京畿道果川の中央選挙管理委員会)に進入しました。装備や人数から見て、こちらが「本体」であったことは間違いありません。
そして戒厳軍が撤退するまで3時間20分(22時30分から1時50分)、「令状」なしで押収捜索を行ったのです。
選管委に投入された戒厳軍が自由に押収できた状況で、どのような資料を入手したかについて、関心が集中しています。
スカイデイリー紙は12月5日、国情院(国家情報院)が昨年7月から9月の合同保安点検の時、中央選管委のサーバーに対する一部フォレンジック(鑑識)を通じて、電算操作による不正選挙が行われた記録を発見したことが確認されたと報道しました。
そして昨年10月10日、国情院が選管委のサーバーに対する5%のフォレンジックを通じて不正選挙が過去にあったという事実を大統領に緊急報告したというのです。
通常であれば捜査は検察が行いますが、そのためには法院(裁判所)から押収捜査令状をもらわなければなりません。
ところが検察が押収捜査令状を請求しても、法院が遮断するはずだという懸念がありました。しかし戒厳令下では法院の令状なしに押収捜索が可能なのです。
選管委の資料を通じて不正選挙が立証された場合、不正選挙で構成された現在の国会は解散し再選挙をしなければならないことになります。
現状は、非常戒厳発令を建議した金竜顕前国防相は逮捕され、尹大統領弾劾訴追案は継続して出し続けられそうです。
そして今、追い込まれた尹氏の「精神状態」や「未熟さ」のみが指摘されています。しかし、結論を下すのはまだ早いと思います。
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