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ダーウィニズムを超えて 88

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第八章 宇宙の統一原理に向けて

(二)宇宙定数の謎

1)アインシュタインの宇宙項
 1917年当時、アインシュタインも他の研究者と同様、宇宙は膨張も収縮もしていない静的な存在に違いないと固く信じていた。しかし、これは彼自身が構築した一般相対性理論の方程式と矛盾していたのである。

 フリードマン(Alexander Friedmann)が指摘したように、アインシュタインの考えた静的な宇宙は、まったく例外的なものであり、アインシュタイン方程式の数学的解はほとんどどれも、膨張あるいは収縮している宇宙を表していたのであった。

 困り果てたアインシュタインは、方程式にその場しのぎの余分な“宇宙項”を付け加えることで重力の効果を相殺し、静的な解を導いた。しかしその12年後、ハッブルが宇宙の膨張を発見し、アインシュタインは宇宙項の考えを撤回せざるを得なかった。そして宇宙は膨張しつつも、やがて重力の効果で膨張のスピードは鈍ると考えられていた。

 ところが1998年、ある種のタイプの超新星の状態にある恒星の明るさと後退速度の測定により、宇宙膨張は減速するどころか加速を続けてきたことがわかった。すなわち、重力の効果を打ち消すような力が働いていたのである。これが現在でいう宇宙定数であり、それは何かの未知のエネルギーによるものであって、“ダークエネルギー”と称されている。そしてそれは、量子論から予想される“真空エネルギー”に相当するのではないかと考えられているのである。

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 次回は、「宇宙定数の発見」をお届けします。


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