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ダーウィニズムを超えて 86

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第八章 宇宙の統一原理に向けて

(一)宇宙の生成はフリーランチか

3)ゆらぎによる銀河の形成
 今日、宇宙論者は、ダークマター、通常の物質、そして放射は、ビッグバンの際に、あらゆる尺度において、10万分の1のレベルのゆらぎを伴って出現し、このゆらぎが銀河の形成をもたらした、と見ている(*11)。アレックス・ビレンケンは量子論的なキックがスカラー場に働いたと言う。

 この理論によれば、宇宙の中に銀河が分布するパターンは、インフレーションが続く期間にスカラー場に対して与えられる量子的な「ひと蹴り(キック)」によって決定されます。これはランダムな過程なので、私たちの地平線内部の領域と同じ大きさの領域をいくつか取りあげてみても、私たちのところよりもたくさんの銀河がある領域もあるし、少ない領域もあります。自分たちがいるまさにこの場所に銀河系があるのは、この位置のスカラー場が、真の真空に転がり落ちるまでに小さな「後ろ向きの」キックで蹴り上げられ、そのために、まわりの領域のスカラー場よりいくらか遅くエネルギーの丘を転がり落ちたからです。これにより、私たちのいる場所の密度がまわりの領域よりもわずかに大きくなり、その後、密度の高い場所が私たちの銀河へと進化したのです。宇宙の背景密度のこのような滑らかで小さなこぶは、ほかにもたくさんあります。私たちの銀河系の隣にあるアンドロメダ銀河を生じさせたのも、私たちの地平線の内部やその向こうにある無数の銀河を生じさせたのも、背景密度のこのような小さなこぶなのです(*12)。(太字は引用者)

 スタンフォード大学の理論物理学教授のレオナルド・サスキンド(Leonard Susskind)は、10万分の1レベルのゆらぎが銀河形成をもたらしたという主張について、「微視的な世界の量子論と天文学や宇宙論の世界の大規模な構造の関係を解き明かしたことは、宇宙論の最大の業績の一つである(*13)」と言う。


*11 ニール・トゥロック、村田三知世訳『ここまでわかった宇宙の謎』日経BP社、2015年、171頁。
*12 アレックス・ビレンケン、村田陽子訳『多世界宇宙の探検』日経BP社、2007年、128129頁。
*13 レオナルド・サスキンド、村田陽子訳『宇宙のランドスケープ』日経BP社、2006年、218

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 次回は、「統一思想の見解」をお届けします。


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