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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

トランプ氏の圧勝、急進左派・民主党への拒否感あらわに

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、11月4日から10日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 ロシア大統領と北朝鮮外相が会談(11月4日)。米大統領選挙の投開票(5日)。トランプ氏が大統領選勝利宣言(6日)。ドイツ連立政権が崩壊、財務相を解任(6日)。妻を巡る数々の問題、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が謝罪(7日)。中国(全人代)、120兆円規模の地方債を発行へ(8日)。トランプ氏の勝利確定(9日)。ロシアのプーチン大統領、北朝鮮との包括協定を批准(9日)、などです。

 米大統領選挙の投開票が11月5日に行われました。
 翌6日午後9時(日本時間7日午前11時)に、トランプ氏が選挙人の295人を確保し当選を確実にしました。

 米国の大統領選挙の仕組みは、全米50州と首都ワシントンに割り当てられた選挙人538人の獲得を争うものであり、勝敗は獲得数が過半数となる270人を超えた時に決定します。

 なお、同時に行われた米連邦議会の上院選挙において、共和党が非改選を含めて6年ぶりに過半数を獲得することとなりました。
 上院は、政府高官人事や条約の承認権を握っているため、極めて大きな成果といえます。

 さらに下院選も行われており、定数435議席で任期が2年。全議席が改選対象ですが、共和党が過半数を獲得するのはほぼ確実の情勢であり、大統領、上院、下院選の勝利により「トリプルレッド」となる可能性が高まっています(日本時間11日現在)。

 大統領選については、9日(日本時間10日)、最後まで勝敗が確定していなかった西部アリゾナ州でもトランプ氏の勝利が確実となり、全米50州のうち勝利州は31州、選挙人の獲得数は312人となりました。トランプ氏の圧勝です。僅差としたメディアの予測は完全に外れました。

 10日時点でのトランプ氏の獲得票数は約7488万人、ハリス氏は約7140万人となり、その差は約348万票となりました。
 西部ネバダ州でもトランプ氏が勝利したため、「国境の壁」の建設が進むこととなります。

 勝因として、日本メディアではトランプ氏は低所得者層や保守層の票を掘り起こしたこと、関税の引き上げや移民流入を阻止する政策を打ち出して米国民を守ると訴えて有権者の心をつかんだことなどが挙げられていますが、それは最も主要な要因を理解していない見解です。

 民主党はもともと労働組合を支持母体とし、「庶民の党」を標榜(ひょうぼう)してきたのですが、近年は人種や民族、ジェンダーといった問題でより過激な政策の実現を求める急進左派(マルクス主義者たち)の発言力が増し、彼らの「エリート化」が指摘されていたのです。

 左翼イデオロギーを押し付けるような政策により、国民生活を脅かすバイデン政権、「リベラルなエリート層」に対する国民の反発が今回の投票行動に現れたのです。

 本番はこれからです。
 急進左派・マルクス主義者の反撃はこれから始まります。結束して「アメリカ」を守り、この勝利を定着させなければなりません。



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