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ダーウィニズムを超えて 84

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第八章 宇宙の統一原理に向けて

 神様は、真(まこと)の愛の呼吸をします。神様も宇宙に拍子を合わせるので、真の愛を中心として宇宙が永遠に続くのです。──文鮮明(ムン・ソンミョン)

(一)宇宙の生成はフリーランチか

1)ダークマターとダークエネルギーの発見
 1929年、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブル(Edwin Hubble)は、星雲のスペクトルの研究により、星雲の輝線が赤いほうにずれていることから、ほとんどの銀河はわれわれから遠ざかっていると結論し、「その遠ざかる速さ(後退速度)は距離に比例する」という観測結果を提示し、宇宙が膨張していることを示した。

 ハッブルの測定によって、宇宙は膨張していることが決定的に証明され、宇宙は静的で変化しないと考えていたアインシュタインは、静的で変化しない宇宙という考え方を放棄せざるをえなくなった。

 1930年代、天文学者フリッツ・ツヴィッキー(Fritz Zwicky)は、何千個の銀河を含む、かみのけ座銀河団を研究した。そして、一つ一つの銀河が驚くほど速く動いていて、銀河団の中に観測される星々の重力によって説明できるスピードをはるかに上回っていることに気づいた。そこでツヴィッキーは、かみのけ座銀河団には、正体不明の何らかの物質が、銀河を引き寄せて加速させているのだと推測した。この正体不明の物質は“ダークマター”と呼ばれるようになった。

 1998年、ハイゼット超新星探索チームと超新星宇宙計画——二つの国際ベンチャー——は、「超新星」の明るさと後退速度を測定した。明るさの安定しているある種のタイプの超新星爆発を観測した結果、予想よりも暗いということがわかった。それは、これらの超新星は予想よりも遠方にあるということを意味していた。彼らの測定から、宇宙の膨張は加速していることが示されたのであり、この測定に参加したソール・パールマター(Saul Perlmutter)、アダム・リース(Adam Reiss)、ブライアン・シユミット(Brian Schmidt)は、この発見によって2011年のノーベル物理学賞を受賞した。

 宇宙が膨張の加速段階にあるということは斥力によって宇宙が膨張しているということになる。ここで宇宙の加速膨張を説明するためには、斥力として働く宇宙力を導入して、宇宙空間を広げなければならない。天体が重力(引力)によって近づこうとするのを上回る斥力によって、天体の位置を遠ざけているのである。この斥力を創り出すものが“ダークエネルギー”と呼ばれるようになった。

 最近のもっとも精確な値では、宇宙の成分は、通常物質5パーセント、ダークマター26パーセント、ダークエネルギーが69パーセントとなっている(*1)。ダークマターの正体はまだ分かっていないが、ダークエネルギーの正体はさらに不明である。その最有力候補とされているのが、“真空エネルギー”である。

 ダークエネルギーに関して、アリゾナ州立大学の宇宙物理学者のローレンス・クラウス(Lawrence M. Krauss)は「その起源およびその性質が、今日の基礎物理学における最大の謎であることに疑問の余地はない。そんなエネルギーがいったいどこから生じたのか、なぜそのような値になっているのかが、深いレベルで理解できているわけではない(*2)」と言う。


*1 キャサリン・フリース、水谷淳訳『宇宙を創るダークマター』日本評論社、2015年、255頁。
*2 ローレンス・クラウス、青木薫訳『宇宙が始まる前には何があったのか?』文藝春秋、2013年、140

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 次回は、「真空エネルギーによる宇宙のインフレーション」をお届けします。


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