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ほぼ5分で読める勝共理論 51
LGBT問題
日本のLGBT事情

編集部編

性的少数者にとって何が問題なのか?
 これまでアメリカの動向について説明してきましたが、日本で大きな転機になったのは、2015年に渋谷区で同性パートナーシップ条例が施行されたことでした。

 この条例を利用して申し込んだ同性カップルに対して、渋谷区が結婚に相当する関係と認めたのです。

 この時に強調されたのが、LGBT(性的少数者)のかたがたの権利が制約されている、理不尽な目に遭っている、というものでした。

 例えば、同性カップルの相手が入院したのだけれど、家族じゃないと面会できない、同性カップルを家族として認めてもらえなかったとか、同性カップルとしてアパートを借りることができなかったといったものでした。

 他にも、結婚すれば一方が死んだときに財産を相続できるのに、同性パートナーだと相続できないといった話もあります。

 しかしこれらの内容は、特別な法律や条令を作らなくても、解決が可能なことばかりです。

 入院時の面会については、後見人制度というものを利用して後見人になれば面会できます。
 アパートを借りるときは、ルームシェアをすると言えば、普通に借りられるでしょう。

 相続については、遺言を書けば全てそのとおりになりますから問題ありません。
 他に兄弟がいたりして遺言では解決できないというのであれば、家庭裁判所を通して養子になれば解決します。

 つまり彼らが運動で主張する内容は、特別な法律を作らなくても十分に解決が可能なものばかりなのです。

性的少数者の現状はどうなのか?
 ちなみに港区が昨年実施した性的少数者へのアンケートでは、地域で暮らすことで困っていることにはどんなことがありますか、という問いに対して、一番多かったのは「特にない」で69.5%でした。

 職場で差別に遭ったり、子供の頃にいじめられたり、という経験率は、5.312.5%で、一般的ないじめ経験率が3040%ですから、さほど多いというわけでもありません。
 女性のセクハラ経験率は48%にもなりますから、それと比べるとかなり少ないといえます。

 法務省が人権の問題として対応した全ての受理件数(2015年度)22312件のうち、LGBTに関する事件は全部で23件、全体の0.1%しかありませんでした。

 もちろんゼロになれば一番いいのでしょうが、国の在り方を変えてしまうような法律を作らないといけないのかというと、そこまでではありません。
 むしろLGBTに限らず、一般的に人権を尊重する社会になれば、それでいいのだと思います。

 ちなみに同じく港区が行った調査では、パートナーシップ宣誓制度があれば宣誓したいという人は、同性愛者の中で34%でした。
 宣誓をしたいと思わないかたの中で一番多かった理由は、そっとしておいてほしい、2番目は、特段メリットはないと思う、というものでした。

 つまり、同性愛者の中でも、別に特別な保護が必要だと思う人はさほどいませんし、いるとしてもその理由は人によってさまざまで、その大半は現行の制度で十分に対応が可能だということなのです。

 下の図は、渋谷区の同性パートナーシップの制度を利用して、証明書の交付を受けた人の人数です。

 一番多いのはゼロ、多くても5人です。そしてこの制度を利用した理由としては、「二人の関係を見つめ直す機会になった」とか、「携帯電話や飛行機の家族割を利用した」というものでした。
 確かにプラスにはなったのでしょうが、深刻な人権侵害が解決されたというわけでもありません。

 この制度を作った本当の目的は、いったいどこにあるのでしょうか。
 その点は、次回お伝えします。

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