2024.10.13 22:00
ダーウィニズムを超えて 80
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。
統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著
第七章 混迷する神なき現代物理学
(八)物理学の行くべき道
(4)数理性について
レーダーマンが「もし宗教的メタファーが、現代の物理学の革命を理解する上で多少とも役立つのなら、ぜひともそれを利用することだ」と言っているように、物理学者は宗教的、哲学的な知恵を参考にすべきである。
東洋の陰陽思想によれば、初めに太極があり、太極から陰陽が出て、さらに四象(ししょう)、八卦(はっけ)が生じる。世界は八卦が調和的に循環しながら営まれている。八卦はさらに8倍すれば六四卦(ろくじゅうしけ)になる。ところで生物のDNAの言葉である塩基A、T、G、Cは、そのうちの3文字のコドンで解読される。すなわちDNA鎖の三つの塩基が一組となってアミノ酸1個を規定している。そしてコドン(三塩基)の組み合わせによるアミノ酸解読の暗号表も、易の卦と同じように六四になっているのである。
陰陽に関してもう一つの理論——木、火、土、金、水の五行説——がある。五行説によれば、世界はこの五つの要素が互いに影響し合いながら営まれているのである。
それでは数に関する統一思想の観点を述べる。統一思想において、1数は唯一者なる神を意味している。2数は神の二性と世界の二性を意味する。神の二性とは、精神面(心)と物理面(根源エネルギー、前エネルギー)の二性、および陽性と陰性の二性である。世界の二性とは、精神(心)と物質(体)、および男と女、雄と雌のような陽性と陰性のペアをいう。精神と物質の二性は西洋思想が形相と質料として追求してきたものであり、陽性と陰性は東洋思想が陰陽として追求してきたものである。さらに主体と対象のペア(主要素と従要素)もある。中間子はクォークと反クォークという二つのクォークから成っている。
3数は天の数といい、3段階の成長過程および三つの基本的要素をいう。例えば人間や四肢のある動物の体には頭、胴体、四肢の三つの部分があり、四肢もそれぞれ3段階になっている。物質には固体、液体、気体の三相がある。色には三原色があり、音には三和音がある。クォークとレプトンには三世代があり、クォークには三つのカラーがある。バリオンは三つのクォークから成っている。
4数は地の数といい、世界の広がりを意味する。例えば東西南北の方位があり、前後左右の広がりがある。一年には四季がある。古代ギリシャの哲学者は根源物質(アルケー)を火、水、土、空気の四元素とした。化学において炭素、水素、酸素、窒素の主要な四元素がある。物質は第一世代のアップクォーク、ダウンクォーク、電子、電子ニュートリノによって構成されている。力には四つの基本的な力——重力、電磁気力、強い力、弱い力——がある。家庭を基盤として実現される愛には、子女の愛、兄弟姉妹の愛、夫婦の愛、父母の愛の四つの愛がある。
5数は、4プラス中心であり、やはり世界を表している。東西南北の四方は中心を入れると5数となる。われわれの手や足には五つの指がある。
7数は3数(天の数)と4数(地の数)を合わせた完成数である。例えば1週間は7日間であり、色には紫、藍、青、緑、黄、橙、赤の7色がある。音はドレミファソラシの7音があり、メンデレーエフの周期律表には一周期に7個の活性元素が並ぶ。
8数は再出発、円、球そして世界を表す。例えば、周期律表では不活性元素を加えれば一周期に8個の元素が並ぶ。ゲルマンとネーマンは数百個のハドロンを8個組に分類し、八道説を唱えた。それはメンデレーエフの周期表の素粒子版というべきものであった。そこからクォーク理論が導かれた。日本の物理学者、本間三郎は「なぜか自然は8という数に特別な意味をもたせているようである(*49)」と言う。5数と8数は共に世界を意味しているが、5数は世界を平面的にとらえており、8数は世界を円または球としてとらえているのである。
4数のそれぞれが3段階の成長をなせば12数となる。12数は天地完成数であり、創造目的の完成を意味する数である。言い換えれば、12数は世界の構成数である。例えば一年には四季があり、それぞれ3か月であるから、合計で12か月となる。1日の昼と夜はそれぞれ12時間である。物理学の標準モデルにおいて、12個の物質粒子(6個のクォークと6個のレプトン)があり、12個の力の粒子(ゲージボソン)がある。反粒子まで含めれば、12個のレプトン(6個のレプトンと6個の反レプトン)と、それぞれのカラーにおける、12個のクォーク(6個のクォークと6個の反クォーク)がある。
数の謎は数学的な計算や論理的な推論だけでは解明できない。物理学が宗教的、哲学的な知恵を受け入れるとき、新たな洞察を得ることができるであろう。
*49 本間三郎『素粒子の世界』NHK出版、1997年、190頁。
---
次回は、「対称性の破れ/無からの創造」をお届けします。