2024.09.30 22:00
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解散命令は自由権規約に違反する?
ナビゲーター:魚谷 俊輔
ジュネーヴの国連欧州本部において第57回人権理事会が開催される中、9月25日、ジュネーヴ市内の会場において、「日本の少数派信仰コミュニティに対する深刻な人権問題」をテーマとするブリーフィングが、UPFの主催で開催された。
このブリーフィングでは、フランスの弁護士であるパトリシア・デュバル氏、国際ヘルシンキ人権連合元事務総長のアーロン・ローズ氏、家庭連合法務局の近藤徳茂氏などが、日本政府による家庭連合に対する解散命令請求についてスピーチした。
パトリシア・デュバル弁護士はこのたび、国連の宗教または信条の自由に関する特別報告者をはじめとするさまざまな専門家や機関に対して、「日本:統一教会を根絶するための魔女狩り」と題する29ページの報告書を提出した。
ブリーフィングではこの報告書のポイントが説明され、その要約が同日、人権と宗教の自由に関するウェブニュース媒体「Bitter Winter」に英語と日本語で掲載され、全世界に発信された。
そこで今回は、パトリシア・デュバル弁護士の報告書の中でも最も重要なポイントを紹介する。
同弁護士は国際法の専門家であり、とりわけ「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」の解釈に詳しい。
日本は1979年に自由権規約を批准しているため、これを遵守(じゅんしゅ)する義務がある。
自由権規約第18条第3項は、「宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる」と規定している。
日本政府は、家庭連合が「社会的相当性を欠いたこと」や「社会規範に違反したこと」を理由に敗訴した32件の不法行為による損害賠償請求訴訟を根拠に、宗教法人法第81条に基づき、「公共の福祉」を著しく害したとして、宗教法人の解散手続きを開始した。
これらが家庭連合の信教の自由を制限する根拠になると解釈したためだ。
ところが、「公共の福祉」の保護は、自由権規約第18条第3項において信教の自由を制限するために認められた根拠に入っておらず、社会的相当性や社会規範への適合も同様に認められていない。
むしろ、国連の自由権規約人権委員会は日本に対し、宗教的信念を表明する権利を制限するために、「公共の福祉」という概念を用いるのをやめるよう繰り返し勧告しているのである。
パトリシア・デュバル弁護士の主張は、日本政府の解散命令請求が国際法に違反するという驚くべきものだ。
こうした国際的な非難が、日本の裁判所における司法判断にどのような影響を与えるのか注目したい。
【関連情報】
Bitter Winter 日本語記事:
日本:統一教会を根絶するための魔女狩り