2024.09.23 22:00
facts_3分で社会を読み解く 34
中西尋子氏の豹変
ナビゲーター:魚谷 俊輔
前回は北海道大学の櫻井義秀教授が、宗教学者としての抑制のきいた中立的な研究姿勢から、家庭連合に対して極めて批判的な姿勢に豹変(ひょうへん)したいきさつについて説明した。
その結果、彼は『統一教会:日本宣教の戦略と韓日祝福』(北海道大学出版会、2010年)という極めて批判的な本の著者となった。
この本に共著者として名前を連ねているのが中西尋子氏だが、彼女もまた櫻井氏と同様の豹変をしている。
中西氏は社会学的研究のために韓国で調査活動を行っていたが(もともとの研究内容は家庭連合とは無関係)、そこで偶然、韓国の田舎に嫁いだ祝福家庭の夫人たちに出会った。
彼女はその祝福家庭の夫人たちに好感を持ち、礼拝に参加し、彼女たちにインタビューしながら研究を続けた。その成果として、『宗教と社会』学会で、「『地上天国』建設のための結婚:ある新宗教団体における集団結婚式参加者への聞き取り調査から」というテーマの研究発表をした。
中西氏の発表が終わると、その会合に出席していた全国弁連の弁護士が詰問した。
「霊感商法をどう認識しているのか」「(日本の)統一教会を結果として利するような論文を発表していいのか」。
出席者によれば、「中西さんはボコボコにされた」という(米本和広著『われらの不快な隣人』314ページ)。
彼女は弁護士たちに徹底的に糾弾され、その圧力に屈してしまった。
その結果、彼女は家庭連合に対する論調を批判的なものに転換し、櫻井氏と共に家庭連合を批判する書籍の共著者として名を連ねることになったのである。
このように、今の日本の宗教学界では少しでも家庭連合に有利なことを書こうとすると、反対勢力から圧力がかけられてしまうのだ。
そして2010年に発売された「週刊ポスト」(6月4日号)に掲載された「〈衝撃リポート〉北海道大学教授らの徹底調査で判明した戦慄の真実」「韓国農民にあてがわれた統一教会・合同結婚式:日本人妻の『SEX地獄』」という下品な記事の内容に、中西氏の提供した情報が利用された。
家庭連合は「週刊ポスト」の発行元である小学館を提訴し、2013年2月20日に東京地裁は小学館に対して55万円の賠償金を支払うよう命じている。
これにより、韓国に嫁いだ日本人女性と中西氏の間に築かれた信頼関係は崩壊した。
仮にも祝福家庭夫人と実際に出会い、事実を知っている彼女が、あのような虚構と歪曲(わいきょく)に満ちた記事を世間に流布することに加担したのは、一つの裏切りだった。
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