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facts_3分で社会を読み解く 33
櫻井義秀氏の豹変

ナビゲーター:魚谷 俊輔

 北海道大学の櫻井義秀教授は、家庭連合に対して極めて批判的な立場の宗教学者であり、安倍元首相銃撃事件以降はテレビにも多く出演して、家庭連合に関する専門家として有名になった。

 彼は家庭連合ならびに「カルト」に対する批判的な著作を多数出版しているが、その代表作が中西尋子氏との共著として出版された『統一教会:日本宣教の戦略と韓日祝福』(北海道大学出版会、2010年)である。

 彼は最初からそのようなスタンスで研究していたわけではなく、初期の研究姿勢は宗教学者としての抑制の利いた中立的なものであった。
 しかしある事件がきっかけで豹変(ひょうへん)し、批判的な立場に転じるようになった。その経緯について簡単に説明したい。

 もともと櫻井氏は「マインド・コントロール論」に対して批判的であった。
 彼は1996年に北海道社会学会の機関誌である『現代社会学研究』に掲載された『オウム真理教現象の記述を巡る一考察』という論文で、日本におけるマインド・コントロール論の第一人者とされる西田公昭氏の論文を批判した。

 この論文の中で櫻井氏は、「騙(だま)されたと自ら語ることで、マインド・コントロール論は意図せずして自ら自律性、自己責任の倫理の破壊に手を貸す恐れがある」と喝破し、「マインド・コントロール」は責任転嫁の論理であることを指摘したのである。

 この論文が、統一教会を相手取った「青春を返せ」裁判(札幌地裁)の際に、マインド・コントロール言説の非科学性を立証する目的で被告(統一教会)側弁護団によって引用された。
 それを知った原告(元信者)側弁護団が櫻井氏を、「あなたの論文が『統一教会』擁護に使われているが、それを承知で『マインド・コントロール論』の批判をされたのか」と糾弾したのである。

 実は、札幌地裁にこの論文を提出するように弁護士に提案し、それを引用しながら札幌地裁で証言を行ったのは私である。そのことは櫻井氏の著書にも書かれており、私と櫻井氏の因縁はその時から始まったと言ってよい。

 櫻井氏は、自分の書いた「マインド・コントロール」批判の論文が、まさか統一教会を擁護するために使われるとは思っていなかったようで、自分が「カルト側を擁護する研究者という誤解をもたれたのは心外だ」と主張し始め、ついには統一教会を批判する600ページを超える批判書の著者となったのである。

 それに対して私は個人ブログで、「書評:櫻井義秀・中西尋子著『統一教会』」というシリーズを207回にわたって長期連載することで反論した。
 この「因縁の対決」は、もうしばらく続く予定である。

【関連情報
「洗脳」「マインド・コントロール」の虚構を暴く
櫻井義秀氏と中西尋子氏の豹変

書評:櫻井義秀・中西尋子著『統一教会』01

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