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宣教師ザビエルの夢 61

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「宣教師ザビエルの夢」を毎週月曜日配信(予定)でお届けします。
 1549年8月15日、鹿児島に一人の男が上陸した。家族や故郷を捨て、海を渡った男が、日本で夢見たものは何か。現代日本に対する彼のメッセージを著者が代弁する!(一部、編集部が加筆・修正)

白石喜宣・著

(光言社・刊『宣教師ザビエルの夢-ユダヤ・キリスト教の伝統と日本-』〈1999429日初版発行〉より)

第五章 律法の精神と現代日本への教訓

二、「姦淫してはならない」

イスラエル建国を支える律法
 19985月、イスラエルは建国50周年を迎えました。2000年間国を失い、さまよっていたユダヤ人がようやくにして得た故郷、彼らが抱き続けた夢の実現でした。過越(すぎこし)の祭のたびに「来年こそはエルサレムで」と叫ぶユダヤ民族は、故郷を慕い、宿るべき国を求めて歴史の谷間を歩んできました。旅の途上、民に希望を与え、彼らを支え続けてきたものが、ほかならぬ律法だったのです。

 数年前、ニューヨークのマンハッタンで、ユダヤ民族の歴史と宗教、文化を展示した、ユダヤ博物館を訪れました。その入り口を入ってまず最初に目にしたものは、ユダヤ民族を表す四つのキーワードでした。その中の二つは、たしか「法(LAW)」と「土地(LAND)」だったと思います。

 かつて、イスラエル民族がエジプトを出立し、約束の地を目指して歩む途上で、神から与えられたみ言葉、それが律法でした。律法は創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記の五つの書物から成りますが、第5番目の書の冒頭には、「モーセはイスラエルのすべての人にこれらの言葉を告げた」(『旧約聖書』申命記11)とあります。この申命記は、モーセがシナイ山で神から与えられ、荒野の道で民にたびたび語った神のみ言葉を、約束の地を目前にして今一度まとめて、遺言として与えるというスタイルになっています。

 こうしてモーセを通じて神から選民に受け渡された律法の目的は、「約束の地で永らえる」ためでした。ですから、律法は永続する国が建てられて初めて意味のあるものとなるのであり、建国の後は、国の支柱、法律の源泉となりました。また裏返せば、神はまだ奴隷の状態から解放したばかりの民に対して、国に宿る以前からすでに建国の理念を与え、国家の精神的支柱を授けていたともいえるのです。

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 次回は、「十戒は『憲法』」をお届けします。


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