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ダーウィニズムを超えて 78

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第七章 混迷する神なき現代物理学

八)物理学の行くべき道

2)目的論の復権
 目的論が復権されれば、隘路(あいろ)に迷いこんだ現代物理学を救出することができる。ひも理論と素粒子物理学に対しては、無数のカラビ・ヤウ空間、ランドスケープの無数の谷の中から、目的に適うものを一意的に選び出すことが可能になる。宇宙論に対しては、無数の宇宙の可能性の中から目的に適う宇宙だけが存在しているということになる。そして宇宙論をSFの世界から救い出すことができるのである。人間原理について言えば、弱い人間原理は強い人間原理となるのである。

 宇宙万物に目的があるということは、自然法則は目的を前提としているということになる。統一思想の提唱者である、文鮮明(ムン・ソンミョン)師は次のように述べている。

 存在するすべてのものは、必ず運動します。これが存在物の基本的な存在法則です。生きて動く生命体はもちろんですが、動かない物体や無生命体もこの運動の法則性をもちます。運動性は無秩序なものではなく、必ず秩序的であり、法則的だというのです。なぜなら、秩序と法則はある目的を前提としなくては考えることができないからです。したがって存在するすべてのものは、必ずある目的によって秩序と法則性をもって動くようになるというのです(*46)。

 水の例を考えれば、法則は目的を前提としていることが理解できる。以下に見るように、水は生物を存在せしめるように見事にデザインされている(*47)。

■水は摂氏4度で密度は最大になり、凍ると膨張して軽くなる。

 このような特殊な水の性質のため、氷は水の上に浮かび、どんなに寒くても、氷が冷えるだけで、深い海や湖や川の下のほうは凍らない。そのため魚は氷漬けにならないで生きられるのである。また松の種のように、固い殻に被われていると、春になっても中から芽が出られないが、冬の間に種の中に含まれている水が凍ると膨張し、殻にひび割れが生じる。それを数回繰り返すことによって、ひび割れが大きくなり、春には芽が出るようになるのである。

■水は著しく高い比熱をもっている。

 地球の表面のほぼ70パーセントは水で覆われている。植物も大量の水を含んでおり、植物は陸上の水ともいわれる。そのため地表は、砂漠地帯を除いて、水の高い比熱のために1日の温度差が少なく、われわれが住みやすくなっている。さらに水の高い比熱は、動物の温度調節をも可能にしている。

■水は異常に高い気化熱をもっている。

 水はその異常に高い気化熱のために、効率の良い冷却システムとなっている。すなわち、気温が高いとき、われわれの発汗は多くなり、その際、大量の熱を放出するのである。地球においては、熱帯地方で蒸発した水蒸気が寒冷な地方に移動して水に戻るとき、蒸発のとき吸収したのと同じ量の熱を放出して寒冷な地方を暖めている。かくして寒暖の差をゆるやかにしているのである。

■水は異常に高い融解熱をもっている。

 水の異常に高い融解熱のため、氷が水になるとき、大量の熱を吸収し、水が凍るときには、大量の熱を放出する。そのため、湖や川はゆっくり凍るのであり、地表は急激に寒くならないのである。

■水は高い表面張力をもっている。

 水の高い表面張力のおかげで、植物は水を吸い上げることができる。植物の気孔から水が蒸発するとき、表面張力によって、水は植物の導管を通って植物の中を吸い上げられる。そのような表面張力と気孔がなかったら、背の高い植物は上まで水を吸い上げられず、育たなかったことであろう。以上のような水の法則性または性質を見るとき、法則というものは偶然なものでなく、生物の生存という目的を達成するように整えられていることが理解できるのである。


*46 文鮮明『祝福と理想家庭Ⅳ』ソウル・成和出版社、1992年、395頁。
*47 ベンジャミン・ワイカー、ジョナサン・ウィット、創造デザイン学会訳『意味に満ちた宇宙』(アートヴィレッジ、2008年、257266頁)には、水が「叡智の最高のデザイン」を表していることが、詳細に説明されている

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 次回は、「デザインの復権」をお届けします。


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