2024.09.26 12:00
ほぼ5分で読める勝共理論 48
LGBT問題③
アメリカのLGBTの動向
編集部編
分岐点となった連邦最高裁の判断
今回は、アメリカの動向について説明します。
なんといってもLGBT運動の推進派の人たちを勢いづかせたのは、オバマ大統領時代のアメリカの最高裁の判断でしょう。
アメリカ全土で、同性婚は合憲だと判断したものです。
アメリカには50の州があります。そしてそれぞれの州がほぼ国家と同じ機能を持っています。
州のことを「ステイト」といいますが、ステイトというのは「国家」という意味でもあります。
このステイトが集まっているのが「ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ」、つまりアメリカ合衆国なのです。
それぞれの州には憲法があって、最高裁判所もあります。軍隊もあります。国家と違うのは、外国と独自に外交ができないことぐらいです。
ですからこれまでは、それぞれの州によって同性婚を認める州もあれば、認めない州もありました。
ところがオバマ時代には、全米の最高裁で、「全ての州で同性婚を認めないといけない」という判決が出たのです。
これはかなり横暴でした。州の大半が熱心なクリスチャンで、同性婚は認めない、と考える州もあるわけです。
それで保守系の人たちが怒って、その結果トランプ大統領が誕生しました。「トランプだったらこの流れを変えてくれるのではないか」というわけです。
この時の判決では、9人の判事のうち5人が同性婚に賛成して、4人が同性婚に反対しました。
この時に反対した判事の1人は、「同性婚を認めると一夫多妻も認めることになる」と言いました。
同性愛も異性愛と平等に扱うべきだと言うのであれば、複数の人への愛情も平等に扱うべきではないか、となるからです。
同性婚を認めたら、それと全く同じ理由で一夫多妻も認めないといけなくなってしまう。そんなことをしたら社会が混乱してしまうのではないか、というわけですね。
そして実際にアメリカでは、この判決以降、「2人目の妻」との婚姻届を裁判所に提出するケースが相次いでいるといいます。
「父親」「母親」という呼称が消えてしまう?
本当にこれでいいのでしょうか。
裁判(司法)というのは、国民の権利や幸福を守るための国家機関です。この判決で、本当に国民の権利や幸福が守られるのでしょうか。
ちなみに2016年に同性婚が合法化されたコロンビアでは、その次の年に「男性3人の結婚」が法的に承認されました。
日本でも、万が一同性婚が認められると、そういう社会になってしまうのかもしれません。
またアメリカでは、教育省の公式文書の記載欄で、「父」と「母」という欄が「親1」と「親2」という欄に変更されました。「Parent1」「Parent2」、省略して言うと「P1」「P2」だというのです。
これは極めて重大な問題です。
おそらくこのままでいくと、アメリカではあらゆる公文書から父親と母親という言葉が消えてしまうでしょう。
社会的にも父親と母親と言ったら差別だ、同性愛者に配慮していないじゃないか、ということになるでしょう。
これは子供の福祉にとって大変な問題です。
父親と母親の役割は異なります。母子家庭であれば、お母さんがお父さんの役割も果たすことがあるでしょう。
父子家庭でも同じです。お母さんとお父さんの役割が子供にとって要らないということはありません。
それが全て「P1」「P2」という言葉に置き換わったら、親の在り方が社会全体で全く変わってしまうのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、私たちは同性愛者の人が互いに愛し合ったり、一緒に暮らしたりすることを否定するつもりは一切ありません。
それは個人の自由ですし、権利として尊重されるべきです。
でもそのことと、国の制度を変えるということは全く別のことです。
私たちが問題にしているのは、この点なのです。
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