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シリーズ・「宗教」を読み解く 334
イグナチオ・デ・ロヨラの霊性➁
イエスに見いだされたイグナチオ

ナビゲーター:石丸 志信

 重症を負って故郷に帰ったイグナチオの人生は、この時から大きく方向転換を始める。

 複雑に骨折した足の治療のため、二度にわたり大きな手術を受けた。麻酔薬がまだ使われていなかった時代、どれほどの激痛を伴うものだったのか。

 誇り高きイグナチオは、一言も呻(うめ)き声を上げることなく、「いつもの忍耐力をもってそれを耐え忍んだ」(『ある巡礼者の物語~イグナチオ・デ・ロヨラ自叙伝』イグナチオ・デ・ロヨラ著 門脇佳吉訳・注解 岩波書店 2000年、19ページ)と、自伝に記している。

 驚くべき忍耐力だが、そこまでして耐えたのは、騎士として返り咲きたい一念であった。
 ぶざまな格好では王のもとに帰れないと思ったからだという。

 まだ世俗の欲望に駆られていた騎士イニゴ・デ・ロヨラだったが、彼を聖人の道へと追い立てたのは、イエス・キリストと聖霊に他ならない。

 2000年前にエルサレムの一角、マルコの屋根裏部屋で起こったペンテコステの出来事は、その後も時と場所を選ばず起こっている。

 イグナチオの足が砲弾で打ち砕かれたのは、1521520日。くしくも、その年のペンテコステの祝日直後のことだった。

 同じ時、北のドイツでは、マルティン・ルターがヴォルムス帝国議会に召喚され、自説の撤回を求められ、これを拒否した時でもあった。
 すでに宗教改革の時代が始まっていたのだ。

 大航海時代に入り、船を駆って、はるばる異教の国々にまで乗り出すことができる環境が整っていた。

 「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣(の)べ伝えよ」(マルコによる福音書 第1615節)

 イエス・キリストが復活後に弟子たちに託したこの言葉が、世界的に成されるべき時が訪れていた。

 16世紀のただ中に、東洋と西洋が出合う時。イエス・キリストは、この時代に生きるパウロのごとき人物を探し出そうとしていたのだろう。

 時満ちて、再び来られる主を迎えるために、世界宣教を自らの使命と受け止め、献身的働きをする者が現れなければならない。

 イエス・キリストは、この召命に応え得る人物としてイグナチオに目を留めたようだ。
 だから、イグナチオ自身も気付かぬうちに、彼の魂は揺さぶられ始めたのだ。



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