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シリーズ・「宗教」を読み解く 332
修道院の祈り㉚
プロテスタント改革とカトリック改革

ナビゲーター:石丸 志信

 イグナチオ・デ・ロヨラと同志たちによって始められた新たな修道運動の流れは、時に「対抗宗教改革」と呼ばれてきた。
 それは、マルティン・ルターによって始まった「宗教改革」に対抗するカトリック教会の反動的な動きだとみられたからだ。しかし、その運動は、決して反動的なものでも、時代錯誤の復古的運動でもなかった。

 イグナチオは、ある時に騎士として国王に忠誠を誓う生活を放棄し、キリストの御旗(みはた)の下に集う霊的兵士、メシヤ王の命令に絶対的に従う忠臣として後半生をささげていく決心を持つに至った。
 確かな霊的覚醒が彼の内面に起こったからに他ならない。そして、それを引き出したものは、長き年月をかけて蓄積されてきた修道制の伝統、修道院の祈りの積み重ねにあったのではないかと思える。

▲騎士時代のイグナチオ・デ・ロヨラ

 戦闘で傷つき病床にあったイグナチオの枕元に一冊の本が置かれていた。
 ルドルフ・フォン・ザクセン(1300頃~1378)の『キリスト伝』がそれだ。
 著者のザクセンは、北ドイツ生まれの修道者にして神学博士。1339年に隠生修道生活に憧れてカルトジオ会の修道院に入った。

 この本は1350年頃にマインツの修道院で書かれたものだといわれている。
 その写本は早くからドイツ、フランス、オーストリア、イタリアに広まり、15世紀に入って、印刷術の普及によりラテン語版が出版され広く流布し始めた。
 15世紀末から16世紀初めには、フランス語、ドイツ語、カスティリャ語、ポルトガル語に翻訳されていった。

 当初全く興味を示さなかったイグナチオだったが、『キリスト伝』から彼の魂を揺さぶる言葉が流れてくる。
 「いと高き神のみいつの観想には、私たちのあがない主の生涯にあずかって前進することによるほかに、だれも速やかに達することはできない」(『宗教改革著作集 第十三巻 カトリック改革』教文館 1994年、49ページ)
 「キリストのうちにとどまると言う人は、キリストが歩んだように歩まなければならない」(同、2950ページ)

 宗教改革者ルターとイグナチオが活躍した時代はひと世代離れているものの、同じ修道霊性の泉から生命の水をくみ取り、それぞれに改革刷新を導いていった者たちであるといえる。
 今日では、一方を「プロテスタント改革」、もう一方を「カトリック改革」と呼んでいる。



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