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ほぼ5分で読める勝共理論 44
中国問題⑧
中国の「国家主席」

編集部編

中国に「選挙」はない?
 今回は、中国の国家主席について解説します。

 中国の政治的なトップのことを「国家主席」といいます。他の国でいうところの大統領です。ちなみに英語では国家主席のことを「中国の大統領」、つまりプレジデントといいます。

 ただ、中国の国家主席と普通の国の大統領とはかなり違います。一番違うのは、国民の選挙で選ばれないところです。

 どうやって選ばれるのかというと、中国共産党のトップがそのまま国家主席になります。
 なぜかというと、中国という国は共産党の指導の下にあるからです。このことは中国の憲法にもはっきりと書かれています。

 この中国共産党のトップのことを「総書記」といいます。
 では、どうやって総書記が選ばれるかというと、表向きは共産党内部の選挙で選ばれます。

 中国には共産党員が全国で9000万人います。中国の人口は公式的には14億人ですから、だいたい15人に1人ぐらいが共産党員です。

 そしてこの9000万人から、代表者が約2300人選ばれます。
 日本でいえば、都道府県の代表といったところです。そしてこの代表が、北京で行われる全国の共産党大会に参加します。

 共産党大会では約200人の中央委員が選ばれます。その中央委員によって7人の常務委員が選ばれます。
 この7人が中国の最高幹部です。そしてこの7人の中から、さらに最高幹部である総書記が選ばれます。

 総書記になると、行政のトップである国家主席になりますし、軍のトップである最高司令官にもなります。
 こうして総書記は、中国の14億人のトップとして、絶大な権限を握ることになるのです。

極めていびつな中国の政治体制
 「選ぶ、選ぶ」と何回も言いましたが、実際には選挙で選ばれることはありません。
 候補者があらかじめ決まっていて、参加者は拍手をするだけです。拍手をしないと後から厳しい仕打ちを受けます。

 何といっても中国では警察も裁判所も共産党の指導の下にありますから、誰も逆らえません。
 ですから候補者になれば100%決定です。これではとても選挙とはいえません。

 つまり中国では、誰が権力者になるかは事前の水面下の闘争で全て決まっています。
 誰が何番目に舞台に登場して、どの椅子に座るかも全部決まっています。その順番で権力の序列が分かるようになっているのです。

 ですから中国では、いつも激しい権力闘争が繰り広げられています。
 まずは地方の代表になるために出世しないといけません。そのために賄賂を贈り、人を買収し、政敵を追いやり、実績をつくるために民衆を弾圧したりします。
 こうして幹部から認められないといけません。この積み上げの結果、中国の国家主席が選ばれるのです。

 そして国家主席になれば、今度は自分の地位を守らないといけません。そのためには実績が必要です。
 今では共産主義思想で中国をまとめるのは難しいですから、経済成長と覇権の拡大が必要です。

 まず、経済がうまくいかなくなると人々に不満がたまります。そして政治が不安定になります。そのガス抜きをするためにも覇権の拡大が絶対的に必要です。
 最近の中国は経済が不調ですから、なおさら覇権の拡大が必要です。

 皆さん、お分かりになりましたでしょうか。

 中国の政治体制は極めていびつです。日本人の想像をはるかに超えています。そしてそのいびつな体制で権力を維持するには、覇権の拡大に取り組むしかありません。
 ですから日本が中国と本質的に理解し合うことは不可能です。もちろん、中国が共産主義を捨てれば、話は全く別です。

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