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facts_3分で社会を読み解く 30
うそと妄想のバーターで生まれた元広報部長の『懺悔録』

ナビゲーター:魚谷 俊輔

 8月20日に樋田毅著『旧統一教会大江益夫・元広報部長懺悔(ざんげ)録』(光文社)が出版されました。

 この『懺悔録』は、かつて統一教会(現・家庭連合)の広報部長であった大江益夫氏に、朝日新聞元記者の樋田毅氏がインタビューして書いたとされるものですが、多数の事実無根かつ荒唐無稽な記述が含まれているため、既に家庭連合本部や国際勝共連合本部から光文社に対する通知書や声明文が出されています。

 私はこの本が出版される以前から原稿を入手してその内容を検討してきたため、ここで簡単にその問題点を指摘しておきたいと思います。
 詳しい内容については、家庭連合ならびに勝共連合のウェブサイトでご確認ください。

 この『懺悔録』の最大の問題点は、「赤報(せきほう)隊事件」と呼ばれる一連のテロ事件を起こしたのが統一教会あるいは勝共連合の関係者である可能性が高いと繰り返し発言している点です。

 赤報隊事件は、198753日に朝日新聞の2人の記者が殺傷された、阪神支局襲撃事件をはじめ、世間を震撼(しんかん)させた凶悪事件であり、暴力によって言論の自由、民主主義の根幹を破壊しようとする暴挙でした。

 このような凄惨(せいさん)な事件に、統一教会や勝共連合の関係者が関与していたかのような主張を、確たる証拠もなくすることは許されません。

 また「赤報隊事件」と関連して、国際勝共連合内に「秘密軍事部隊」や「裏部隊」があったかのような荒唐無稽な記述も見られますが、こうした内容は全て、著者である樋田氏が家庭連合や勝共連合に一切取材することなく、大江氏の思い込みにのみ基づいて書いた、事実無根の妄想なのです。

 樋田毅氏に対しては、私が勝共連合の事務総長をしていた時代に、「週刊文春」(202298日号)の記事の中で同様の主張をしていたため、抗議文を送ったことがあります。

 それに対する真摯(しんし)な対応もなく、再び同じような妄想を今回の『懺悔録』で繰り返した樋田氏は、ジャーナリストとしての基本的な矜持(きょうじ)も持ち合わせていないとしか言いようがありません。

 実際には、大江氏は赤報隊事件の犯人が統一教会や勝共連合の関係者であるとは信じていないのです。
 ところが、樋田氏がそれにこだわっているため、彼を食いつかせるためにあえて赤報隊事件を利用し、彼の著書を通じて自分の主張を世に伝えようとしただけなのです。

 うそと妄想のバーターによって出版されたこの本に、一読の価値はありません。

【関連情報
・世界平和統一家庭連合公式ウェブサイト:
株式会社光文社に通知書を送付しました

・国際勝共連合ウェブサイト:
大江益夫氏『懺悔録』に関する国際勝共連合の声明

・国際勝共連合ウェブサイト:
大江益夫氏『懺悔録』に対する国際勝共連合代理人弁護士からの通知書を公開

・True Parentsウェブサイト:
虚偽に満ちた“妄想の懺悔録”マルクスを信奉し続けてきた大江益夫・元広報部長の顛末

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