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共産主義の新しいカタチ 26

 現代社会に忍び寄る“暴力によらざる革命”、「文化マルクス主義」とは一体何なのか?
 国際勝共連合の機関紙『思想新聞』連載の「文化マルクス主義の群像〜共産主義の新しいカタチ〜」を毎週水曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部による加筆・修正あり)

「愛と性」切り離す「動物的還元主義」
ジークムント・フロイト①

▲ジークムント・フロイト(ウィキペディアより)

 「文化共産主義」が「男女平等」どころか、「ジェンダーフリー」「過激性教育」など「文化破壊」の道をひた走る大きな要因が、ジークムント・フロイトの影響と言えるでしょう。

マルクスと結びついたフロイト思想
 フロイトは人間の「無意識」に目を向け「心の深層」に迫り、心理臨床において巨大な足跡を残しました。しかしフロイトの「精神分析学」は「エディプス・コンプレックス」論などにより、家族関係に「闘争」概念を刷り込んだのです。

 そればかりか、人間のあらゆる営みは「リビドー」(性的エネルギー)の顕れとみたフロイトの思想は、ヴィルヘルム・ライヒや、フランクフルト学派のヘルベルト・マルクーゼら「フロイト左派」によって「性解放」の思想へと奇怪に「変貌」を遂げることになります。

 ベトナム戦争以降に米国の大学やインテリに蔓延した「価値相対主義」「フリーセックス」の風潮を鋭く告発したのが、シカゴ大学教授アラン・ブルームの『アメリカン・マインドの終焉(しゅうえん)』でした。ブルームは、フロイトとマルクスとの結びつきについて、次のように述べています。

 「フロイトはマルクスのどこを探しても見あたらない興味深い事柄について語った。無意識の内的な動因である性本能(エロス)はマルクスには縁遠いものだったが、ひいては無意識に関する心理学全体が、マルクスにとっては完全に無縁だったのである。…

 フロイトは人間の本性と社会との永遠の矛盾について語ったが、このフロイトの主張には弁証法的運動を行わせることが可能なのであって、社会主義社会では神経症の原因となる抑圧の必要がなくなるであろう。かくしてフロイトは、マルクス主義者の軍隊に手際よく登録され、経済学の魅力には性本能(エロス)の魅力が添えられる」

 さらに、マルクス主義以上に、世を惑わしミスリードしたのがフロイトだとみるドイツの科学ジャーナリスト、ロルフ・デーゲン氏は、「心理学のウソが危険なのは、時と共にそれが知らず知らずわれわれの自己認知の一部となってしまうからだ。『内へ向けたまなざし』も、外へ向けたまなざし=視覚と同じように錯覚を起こす。見た目には、地球は平らで太陽が地球の周りを回っているように見えるのと同じような錯覚を心も起こす。自分の行動の理由を考えるとき人は自分の心の中を真に覗いてはいない。実際には、外から他人を見るように自分自身を観察し、他人についての間に合わせのもっともらしい理論を作り上げる。…

 『肛門期への固着』や『フロイト的失言』が自分に当てはまると『認識』している人は、実は機械文明時代初期の古ぼけたメタファーを自分にかぶせているだけだということにまるで気づいていない。こうした意味で、フロイトはマルクスよりさらに大きく持続的な損害を引き起こした」(『フロイト先生のウソ』)と厳しく批判しているのです。

ダーウィニズムの影響で還元主義に
 フロイトは、精神科・神経科医として出発しながら、マルクス同様にダーウィン進化論の影響を受けます。そしてダーウィニズムの機械的唯物的自然観の影響下にあったE・ブリュッケの生理学研究室に入り、ヤツメウナギやザリガニの神経細胞の比較からダーウィニズムを実証しようとする研究を行ったのです。そこから、当時神経病学の大家とされたパリのシャルコー教授の下でヒステリー研究に開眼、精神分析学への道を築くことになります。

 英国の分析家A・ストー『フロイト』(講談社)によれば、フロイトは「人類全体に良いものはなく、ほとんどはクズ」と見なすほどの極端な人間嫌いでした。

 フロイトは解剖学的研究からダーウィニズムの徒となり、「無意識世界におけるダーウィニズム」の樹立を企てました。つまり、「ダーウィンの描く人間像は《還元的》だった。というのも彼は、人間は、神の姿を写した特別な生物であるという考えを追い散らしただけでなく、極めて複雑な行動を単純な生物学的起源に還元する傾向があった。フロイトはそれと全く同じことをしようとしたのである」(同書)からです。

 人間を「最悪の存在」としてペシミズムを説いたショーペンハウアーに倣い「人間はクズ」と見なしたフロイトはまさにダーウィン以上の唯物的還元主義者であったと言えるでしょう。

▲ショーペンハウアー(1891〜1937)

 しかもフロイトは「精神分析の開祖」として学者仲間に絶対的権力を振るい、自らの結論に対する反論を一切許さず、ブロイアーやフリース、アドラー、ユングといった同僚や弟子たちが次々に離反しました。

 フロイト自身はそうした訣別を「裏切り」「背信」と見なしました。ですからフロイトの理論を「ドグマ」(教義)とする一種の宗教である、と精神分析を見る考え方もあります。(続く)

「思想新聞」2024年7月15日号より

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