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世界はどこに向かうのか
~情報分析者の視点~

岸田首相の退陣表明

渡邊 芳雄(国際平和研究所所長)

 今回は、812日から18日までを振り返ります。

 この間、以下のような出来事がありました。

 米国務長官、イスラエルへの武器売却承認(813日)。岸田首相の退陣表明(14日)。韓国大統領、「光復節」の演説で対日関係や歴史問題に言及せず(15日)。韓国左派の最大野党、李在明(イ・ジェミョン)氏が代表再選(18日)、などです。

 岸田文雄首相が814日、自民党総裁選への出馬を断念し、退陣する意向を表明しました。
 自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受け、自ら退くことで総裁としてのけじめをつけ、党の信頼回復につなげる必要があると判断したといわれています。

 通算在職日数は814日で1046日となり、戦後首相では歴代8位の長さとなりました。
 7位は岸信介首相の1241日、安倍晋三首相は3188日。9月の党総裁選が終了後、岸田首相が退陣した場合でも、そのまま8位で確定となります。

 会見において首相は、事件の発覚後、自ら派閥解消や同法改正などの政治改革に取り組んできたことを挙げ、「残されたのは、自民党トップとしての責任だ。もとより所属議員が起こした重大な事態について、組織のトップとして責任を取ることにいささかの躊躇(ちゅうちょ)もない。当初から思い定め、心に期してきた」と不出馬の理由を説明しています。
 そして「私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かっていきたい」と述べたのです。

 「総裁選では、自民党が変わる姿、新生自民党を国民の前にしっかりと示すことが必要だ」「勝てるから出る、勝てないから出ないということではない。国民の共感がなければ、政策は前に進められない。政治とカネの問題はトップが責任を取るしかない」と語りました。

 率直に言って、また「同じこと」をやっているという印象です。
 これは究極の「保身」であると言わねばなりません。

 もし本当にけじめをつけるのであれば、44日の処分決定時に、自らに対しても何らかの対応をしておけばよかったはずです。それが最も効果的であったのです。
 今に至ってなお、自分が一番苦労している、犠牲になっていると言いたげなのです。

 また、岸田政権が行ってきたこと(防衛費の増額、日韓関係の改善など)を評価する声があります。
 しかし岸田氏が行ってきたことは結果として、「自民党を崩壊させることだった」と言わねばなりません。「自民党らしさ」を自ら壊してきたのです(小沢一郎氏の分析は正しい)。

 LGBT理解増進法制定に前のめりになったこと、パーティー券還流金の不記載問題を派閥解消で逃れようとしたこと。どれも「事実」に基づいて判断できず、批判の声に流されたのであり、リーダーシップの完全な欠如です。自分が犠牲になるポーズによる究極の「保身」です。

 パーティー券問題の本質は、目標達成以上分の還流分が不記載だったことにあるはずです。
 派閥が悪いわけでも、パーティーの開催が悪いわけでもありません。現に麻生派は存続しています。麻生派もパーティー券に関する議員への還流を金融機関の口座振り込みで行っていましたが、記載漏れがなかったのです。つまり、還流分の不記載という違法行為が問題だったのです。

 これが岸田氏の「聴く力」でした。
 家庭連合および関連団体との関係に関する問題においてもそうです。
 証拠と法に基づいて判断すべきなのに、批判されないようにすることが全てとなって、結局は「自分自身」を失っていくのです。
 これでは自民党が壊れるのは当然です。退陣表明は遅過ぎたといえるでしょう。



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