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シリーズ・「宗教」を読み解く 329
修道院の祈り㉗
「新しい敬虔」と『キリストに倣いて』

ナビゲーター:石丸 志信

 ドイツ神秘主義の影響を受けたフランドル(現在のベルギーを中心に、フランス北部の一部とオランダ南部の一部を含む地方)の有力な神秘思想家にヤン・ファン・ルースブルーク(12931381)がいた。

 ヤン・ファン・ルースブルークは24歳でブリュッセルの教区司祭になるが、50歳の時に仲間と共にブリュッセル郊外のフルネンダールに隠遁(いんとん)し、アウグスチノ修道祭式者会(聖アウグスチノ修道会)を創設。この共同体の指導に専念しながら説教や著作を通して甚大な影響力を発揮した。

 彼と親交のあったオランダのヘールト・フローテ(13401384)は、パリ大学で学び聖職を目指すこともできたが、ある種の「回心」を経験した後、謙遜を貫き聖職者になることを拒否した。

 助祭に叙せられて、説教者として力を発揮した。彼の指導により、初代教会の姿に倣う「共同生活兄弟会」「共同生活姉妹会」が生まれてくる。
 そこでは、イエスの生涯や宗教的な主題に関する敬虔(けいけん)な瞑想(めいそう)が進められ、愛徳の完成が目指された。

 フローテに触発されてオランダに広がったこうした運動は「新しい敬虔(デヴォティオ・モデルナ)」と呼ばれている。
 この運動の系譜にトマス・ア・ケンピス(1379あるいは13801471)がいる。

▲トマス・ア・ケンピス(ウィキペディアより)

 彼は、ドイツ・ケルン地方のケンペンの生まれで、20歳の時にオランダ・ズヴォレの聖アウグスチノ会の修道院に入会し、長く修練長を務めた。
 そこで聖書を写本し、瞑想にいそしみ、多くの著作を遺(のこ)した。彼の代表的著作が『キリストに倣いて』である。

 『キリストに倣いて』は、神との合一に近づくための観想の手引であり、修道生活の指南書となっている。
 「中世が生んだ最良の霊的指導書の一つ」と評されるが、実際、多様な言語に翻訳され、幾世紀にもわたってその影響を保ち続けた。
 ちなみに16世紀後半には、日本語訳が出版されキリシタンの間に流布している。



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