2024.08.15 12:00
ほぼ5分で読める勝共理論 42
中国問題⑥
中国人民解放軍近代化計画
編集部編
鄧小平の指示から始まった
今回は、中国の軍事力についてお伝えします。
中国はあらゆる面で軍事力の拡大に取り組んでいます。
日本では尖閣諸島周辺にやって来て、南シナ海では人工島を造って軍事拠点化しています。
米国に届く核ミサイルも配備しています。
こうした内容を一つ一つ話すととても5分では説明し切れません。
それで今回は、中国の長期的計画に限定して説明したいと思います。
今から42年前、1982年のことです。当時の中国の最高指導者である鄧小平が、中国軍の長期的な計画を立てるように指示しました。
こうしてできたのが、「中国人民解放軍近代化計画」です。
近代化計画では、期間を五つに区切って目標を立てています。
第一段階は、2000年までの再建期です。
それまで中国は、主要な仮想敵国をソ連と考えていました。ですから中国軍の中心は陸軍でした。しかし冷戦が終わると、最大の目的は台湾の奪取へと変わりました。
そのためには強力な在日米軍に勝たなければなりません。ですから海軍を強化しないといけません。それで、まずは近くの海ぐらいは守れるようにしようと考えました。
この目標は、完全に達成されましたね。
次は2010年までの躍進前期です。
日本の鹿児島から沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島を結ぶラインを「第一列島線」というのですが、この内側を「中国の海にする」という計画です。
日本の島を勝手に軍事作戦のラインに設定しました。
そして現在では、実際にその内側を中国の船が自由に行き来しています。尖閣諸島の周辺にも中国の船が毎日やって来ます。
海上保安庁の船が「出ていけ」と言うと、「ここは中国の海だからお前たちこそ出ていけ」と言い返してきます。
この目標も、ほぼ達成されたと言っていいでしょう。
着実に進む中国の軍事計画
次は2020年までの躍進後期です。
日本の伊豆諸島から小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインを「第二列島線」というのですが、この内側を「中国の海にする、そして空母を保有する」というものです。
最近では、中国の船が第二列島線までやって来て、勝手に海洋調査を行っています。
日本の最南端に位置する島は沖ノ鳥島ですが、中国は「これは島ではないから日本の領土ではない」と言っています。
また、「遼寧」という名前の空母が完成し、現在は2隻目、3隻目を造っています。
躍進後期の目標も、着実に進められています。
次は2040年までの完成期です。
これは、太平洋、そしてインド洋で米海軍の独占的支配を阻止するというものです。
現在は在日米軍、あるいはグアムにいる米軍が非常に強力ですから、太平洋やインド洋は米軍が支配していると言っていいでしょう。
ここに中国軍が割り込んで来て、米軍を追い出すという計画です。
今のところ一番強力なのは「DF21D」というミサイルで、米国の強力な空母を倒してしまいます。
もし実際にこのミサイルが発射されたら、防御は不可能だともいわれています。
このように、2040年までに中国は、米軍と対等な海軍をつくろうとしているのです。
お分かりいただけたでしょうか。
中国のさまざまな軍事活動は、この2040年を見据えて行われているということです。
ですから、尖閣諸島に中国の船が来たとか、南シナ海に人工島を造っている、といって大騒ぎすることではありません。
その延長線上に、太平洋とインド洋から米軍を追い出して、中国軍が支配するという目標がはっきりとあるのです。
そしてそのための取り組みが、着実に進んでいるということです。
日本人はそのことをはっきりと認識しなければなりませんし、そのために今できることをしっかりと考えなければならない、ということです。
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